【虎になれ】高卒でも地元兵庫出身でも江夏豊以来の背番号「28」今朝丸裕喜、阪神で大きく育て
スポーツ紙を含め、プロ野球報道の世界には“プロ注”と言う言葉がある。読んで字のごとく「プロが注目している選手」ということだ。アマ野球を取材する世界でよく耳にする。そして、ドラフトで本当にその名前が出てくるのだ。
阪神の新人選手入団会見が9日、大阪市内で行われた。指名されて入団しているのだから、みんな「プロ注」だ。しかし冷静になればプロの世界で活動している選手は、全員「元プロ注」。差がつくのは入ってからなのだ。そういうことを肝に銘じて頑張ってほしいなあ、と思いながら晴れやかな顔を眺めていた。
今年の阪神ルーキー、ハッキリ言って「プロ注」の中でもドラフト前から大きく注目されていたアマ球界の注目スターという面ではどうかいな、と正直、思っていた。もっとも注目度とか、ドラフトの巡目とかも関係ない。すべては入ってからなのだ。
そんな中で、知名度で光っているのは報徳学園から来た長身投手・今朝丸裕喜かもしれない。実力はもちろん、名前のめずらしさも加わって、知られた選手だろう。指揮官・藤川球児も「よく2位で指名できた」という意味のことを言っていた。
そんな今朝丸の背番号は「28」に決まったという。これはなかなか、しびれる。阪神の高卒新人で、この番号を背負うのはレジェンド江夏豊以来。さらに言えば、地元・兵庫出身の選手で「28」を背負うのも江夏以来2人目なのだ。
「プロ野球なんて石原裕次郎とか美空ひばりとか、芸能界と同じような感覚やったわ。自分がプロ野球選手になるなんて考えたこともなかった」。これは1966年(昭41)にドラフト指名されたときの感想を江夏から聞いた話だ。
時代は変わり、アマ球界で活躍していればプロは普通に頭に浮かぶ世界だろう。この日、今朝丸は「阪神に入りたかった」という話をしていた。
そんな彼に江夏のこと、地元出身のことを聞いてみた。「そうなんですか。もちろん名前は知っています。でもどういう方だったかは正直…」。素直でいい。2006年(平18)生まれ。闘将・星野仙一の優勝も、前監督・岡田彰布の第1次政権での胴上げも終わった後で生まれている。知らなくて当たり前だろう。大事なのは地元出身で活躍すること。そうなれば、みんな、うれしいのだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)
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記者生活30年超の高原寿夫・編集委員が、今シーズンの岡田タイガースに鋭く迫ります。