金谷拓実、闘病母の前で初賞金王「広島から応援きてくれた」今季最終戦3位に入り平田憲聖を逆転
<国内男子ツアー:日本シリーズJTカップ>◇最終日◇1日◇東京よみうりCC(7002ヤード、パー70)◇賞金総額1億3000万円(優勝4000万円)
金谷拓実(26=Yogibo)が自身初の賞金王に輝いた。賞金ランキング2位で臨んだ今大会最終日は67で回り、通算9アンダーの271で3位に食い込み、賞金総額1億1955万1222円として、同ランキング1位で17位に終わった平田憲聖を逆転した。前日まで首位の中島啓太は8アンダーの4位。ショーン・ノリス(南アフリカ)が通算12アンダーで優勝した。
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最終難関18番。約1・5メートルの短いボギーパットを決めると、金谷は力強く右手を握りしめた。自身初の初の賞金王を獲得し、「今日の18ホールは、今までで1番長かった。広島から母も応援にきてくれた。その中でしっかり自分らしいプレーをしたい気持ちだった」。乳がんと闘ってきた母美也子さんの目の前で賞金王に輝いた。
6人に賞金王の可能性があった今季最終戦。最終ラウンドを迎える時点で、賞金ランキング2番手の金谷と、同トップ平田の2人にほぼ絞られた。その差わずか288万9657円。13位で出た平田に対し、単独4位で出た金谷が終始優位に立つ。最後まで集中力を失わず、17番パー5ではイーグルを獲得。年間王者の行方を決定づけた。最終的には516万2750円差をつけて逆転した。
新人だった19-20年に賞金王争いを繰り広げて2位。中島と争った昨年は3位だった。「ルーキーのときは賞金王は通過点という思いもあったけれど、去年からその重みを感じるようになった」と実感を込めた。
米ツアー挑戦の夢の前に、国内ツアーの賞金王を取る。今季はシーズン前から心身ともにタフになることを掲げた。国内ツアー開幕前にはアジアンツアーに出場。5月にはメジャーの全米プロにも出た。連戦を増やし、昨季より出場試合数も増やした。「連戦を組むことで体調に気を使うようになり、栄養面のことも考えるようになった」ととうなずく。
イーグルを奪った17番に入る直前、キャディーのライオネル・マテチュックさんと言葉を交わした。内容はNBAレイカーズや八村塁の話だった。次週は米ロサンゼルスで米ツアー予選会に出場する。尊敬するのは東北福祉大の先輩、松山英樹。夢の米ツアーへ、優勝会見が終わると、深夜便に乗るべく空港へと移動した。国内賞金王としての誇りを胸に、米国へと乗り込む。【奥岡幹浩】
◆金谷拓実(かなや・たくみ)1998年(平10)5月23日、広島県生まれ。5歳からゴルフを始める。広島国際学院高2年だった15年、日本アマを当時最年少となる17歳51日で優勝。東北福祉大に進み、19年11月の三井住友VISA太平洋マスターズでアマ4人目のツアー優勝。20年10月にプロ転向し、同年11月のダンロップフェニックスでプロ初勝利。24年国内賞金王。ツアー通算7勝(アマ時代含む)。172センチ、75キロ。