【バレー】専大が初制覇 パリ五輪代表・甲斐優斗が28得点大暴れ「自分1人のチームではない」
<バレーボール:ミキプルーンスーパーカレッジバレー2024>◇最終日◇1日◇男子決勝◇千葉・船橋アリーナ
男子は今夏のパリオリンピック(五輪)に出場した身長2メートルのアウトサイドヒッター甲斐優斗(3年=日南振徳)を擁する専大が、日体大を3-1で破り初優勝を飾った。
甲斐は、誰にも止められなかった。「今日は何かしたかった」。試合開始直後、3連続スパイクを決めて主導権を奪取。セットカウント2-1で迎えた第4セットも、怒濤(どとう)の連打で追随を許さなかった。両チームトップの28得点で、準決勝で連覇を目指した早大を退けて勢いに乗る日体大を寄せ付けず。最優秀賞で大会初制覇に導き、「最後に勝って終われたのでホントにうれしい」と胸を張った。
今夏のパリ五輪のコートに立った男は言う。「自分1人のチームではない。そこが本当に強みだと思う」。7位に終わった秋季リーグ以降、エース頼みの攻め方を見直した。多い時は1試合で80近くあった甲斐のアタック数を分散。竹内や堀内らスパイカー陣の成長もあり、攻撃の選択肢が広がった。「周りの連中が刺激を受けて急激に伸びた」と吉岡監督。22年は初戦、昨年は2回戦で敗退した専大の姿はどこにもなかった。全員バレーでつかみ取った日本一。甲斐は「優勝として形になった」と、くしゃっとした笑顔を輝かせた。
12人だけに付けることを許された日の丸が、心身ともに成長させていた。以前は、おとなしく、自己主張が得意なタイプではなかったが、帰国後は「この経験を還元したい」と、積極的にチームメートに練習方法などを助言。「必要な1点が取れた時はチーム全体が盛り上がる。勢いづけるように鼓舞するようにしている」と、派手なアクションでもチームを盛り立てるようになった。この日も、得点を決めると両手を広げてコート上を駆け回った。いつも笑顔で前向きな姿が、苦しい時でもチームを勇気づけた。
22年の全日本高校選手権(春高バレー)では、エースとして公立校の日南振徳を初出場で3位に押し上げた。今大会は77回を誇る伝統大会の歴史に新たな1ページを刻み、「自分たちの名前が刻めたのがうれしい」。この全日本インカレ後には、大学を飛び出し、代表に向けて研さんを積むプランがある。「まだまだ上のレベルが待っている」。心優しき21歳が、日本バレーの歴史を塗り替えていく。【勝部晃多】