平成元年のシーズン途中にひっそり来日した外国人選手が、日本球界に強烈なインパクトを残した。オレステス・デストラーデ(56)。90、91年に本塁打と打点の2冠を獲得。秋山幸二、清原和博と「AKD砲」を形成し、西武黄金期の中核を担った。カリブの怪人と呼ばれファンに愛され、華々しく時代の扉を開けた助っ人に去来するモノは。
<取材後記>
8月にメットライフドームを訪れたデストラーデ氏を取材した。同氏は何度か「40周年のイベントに呼んでもらい、誇らしい」と口にした。
今年はライオンズが所沢に来て40年目。シーズンを通じて多くの“レジェンドOB”が来場し、盛り上げている。10年ぶりの優勝も近づいており、まさにメモリアルな1年となっている。
今回の来日では、現役の若手選手と触れ合う機会もあった。山川には「ミスをしても、コーチの言うことを聞いてやっていけば、またチャンスはある」と伝えた。氏自身、西武に来日した当初、コーチから「ミスはいくらしてもいい。上達すると信じてやりなさい」と言われたおかげで、活躍できたという。
今年41歳の記者にとって、子供の頃の西武は、とにかく強かった。象徴が秋山、清原、デストラーデの「AKD砲」だった。その1人であるデストラーデ氏の言葉。20年後、30年後、山川がレジェンドとなって、後輩に伝える日が来るのかも知れない。【古川真弥】
◆オレステス・デストラーデ 1962年5月8日、キューバ生まれ。87年にヤンキースで大リーグデビュー。パイレーツを経て89年途中に西武入団。秋山、清原と中軸を打った。92年限りで1度退団。93、94年にマーリンズでプレー後、95年に西武復帰。本塁打王3度、打点王2度、ベストナイン3度。巨人との90年日本シリーズではMVP。大リーグ通算成績は237試合、765打数184安打(打率2割4分1厘)、26本塁打、106打点。現役時代は192センチ、99キロ。右投げ両打ち。
- 決めポーズ「BOOM!」を披露するデストラーデ氏(撮影・古川真弥)