競泳元米国代表、獲得した五輪メダル10個すべてをロス山火事で焼失 地元紙の取材で明かす

競泳の米国代表として1996年のアトランタオリンピックから3大会連続出場し、5つの金メダル、3つの銀メダル、2つの銅メダルを獲得したゲイリー・ホール・ジュリア氏(50)が、7日にカリフォルニア州ロサンゼルス西部の高級住宅地パシフィックパリセーズを襲った山火事で自宅と共にメダルをすべて失ったことを明かした。

ロサンゼルス・タイムズ紙の取材に応じたもので、自宅キッチンの窓から細い煙の柱が見え、それが1分も経たないうちに2倍の大きさになり、煙の臭いもしたとコメント。その後、遠くの丘の上にある家から炎が上がっているのが見え、すぐに避難する必要があったという。

自宅から持ち出せたのは、糖尿病の治療薬のインスリンと祖父の絵、さらに娘からもらった宗教的意味合いのあるものだけだったという。10個のメダルを取りに再び家の中に戻ったものの時間がないことに気づき、愛犬とドッグフードを手に取っただけでそのまま逃げざるを得なかったと語った。

オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルド紙のインタビューでも、「これまで見た終末映画よりも1000倍ひどい。ロサンゼルスは大混乱だ。私たちは炎に囲まれていた」と話し、車に飛び乗ると、燃えさしが降り注いでおり、自分の身を守るしかなかったと振り返った。

パシフィックパリセーズに壊滅的な被害をもたらした火災は発生から3日がたった現在も燃え続けており、5300棟を超える建物が焼失し、戦地と化していることが伝えられている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)