マイナ保険証受診が基本に 従来型停止も最長1年有効 利用低調、定着見通せず
従来型の健康保険証は2日、新規発行が停止され、マイナンバーカードに保険証機能を持たせた「マイナ保険証」を基本とする体制に移行した。
しかし利用率は15%台と低調だ。発行停止後も従来型は最長1年有効とするなど、マイナ保険証以外でも受診できる。政府はマイナ保険証への一本化を目指すが、定着するかどうかは見通せない。
従来型は有効期限内なら2025年12月1日まで使える。マイナ保険証を持たない人には期限までに、保険証の代わりになる「資格確認書」が届く。石破茂首相は衆院代表質問で「丁寧に周知し、国民の不安に迅速に応える」と述べた。
内科などの診療科がある東京都新宿区のクリニックでは2日午前、マイナ保険証を利用して受診する人の姿も。ただ事務担当者は「マイナ保険証を使う患者の割合は普段と変わらない。従来型が完全になくなるまで、あまり変化はないのではないか」と話した。
福岡市内の診療所でも、通常の受付には多い時で10人ほどが並んだ一方、マイナ保険証を使う人は少なかった。
政府は22年10月、保険証を24年秋に廃止し、マイナ保険証に一本化すると表明した。マイナカードの普及促進が主な狙い。その後、他人情報をひも付けるミスなどカードを巡るトラブルが相次ぎ判明したが、23年6月に改正関連法が成立した。
政府は、患者の同意があれば、過去の診療情報を医師が確認できるなどとして「より良い医療が受けられる」とマイナ保険証のメリットを説明してきた。しかし医療機関の窓口で使われた割合は今年10月で15・67%にとどまる。一連のトラブルが国民の不信につながっているとみられる。
マイナ保険証の利用登録をしたものの解除する人もおり、厚生労働省によると11月8日時点で792件に上る。(共同)