- 6月、仙台戦でガッツポーズする柏GK中村
<手倉森JAPANリオで金託された18人(4)>
柏GK中村航輔(21)はサッカーから離れても頭を動かす。趣味は将棋。休日には家族と指すこともあるという。「考えたり、頭を使うのは好きです」。テレビの将棋番組を見ることも気分転換の1つだ。
「将棋とサッカーは関係ないと思います」と笑うが、将棋のように相手の攻撃を先読みして失点を防ぐ。柏ジュニアユース時代から指導してきた柏の松本GKコーチは「DF陣に声を出し、動かして、事前に相手の選択肢を狭める。目に見えないファインプレーが本当に多い」と舌を巻く。俯瞰(ふかん)した目で将棋の駒を動かすようにDFを動かし、相手のシュートコースを限定する。
松本コーチは「航輔は賢い。自分で見つけた答えを突き詰める」と言う。高校2年時、倒れた直後に素早く起き上がる練習をした後、「こんなイメージですか?」と、スペイン代表GKカシージャスの動画をスマートフォンで見せてきたという。「感覚だけでなく、理屈を持って教えないといけない。本人が僕の先を行っている感じ」。
中村は今季から柏のレギュラーに定着した。中村のようにJ1クラブで守護神を勝ち取った21歳以下の選手は過去川口、楢崎、西川ら7人。日本を代表するGKと肩を並べる可能性を秘めている。会いたい人には「見習うところがある」と、多くの著書を読んだ羽生善治棋聖を挙げる。五輪でも羽生のように冷静に戦局を見極めて日本のゴールを死守したい。【上田悠太】
◆中村航輔(なかむら・こうすけ)1995年(平7)2月27日、東京都生まれ。U-12(12歳以下)から柏の下部組織に所属。ユース時代の11年に天皇杯に初出場。13年にトップ昇格し、13、14年は出場機会なし。15年にJ2福岡に期限付き移籍し、J1昇格に貢献。今季はリーグ18戦中16戦にフル出場。11年のU-17W杯8強など各年代の日本代表に選出されてきた。1月の五輪アジア最終予選は右足首の故障で不参加。184センチ、72キロ。