【虎になれ】「星野さんの教えが一番強いかも」藤川球児監督の中に生きている「闘将」の教え
闘将・星野仙一の命日は阪神監督時代に行きつけにしていた喫茶店でしのぶのが恒例だが、今年は店が休みだった。それでも闘将の話題は、ちゃんと、どこかで耳にする。当然というべきか、それは新指揮官・藤川球児の口からも出た。
この日、年明けのイベント後に取材を受けた球児は虎番キャップたちにこんな話をしている。「黙って見過ごそうかというときは岡田監督が出てくるし、組織のことを考えなければいけないときは野村監督が出てくるし。選手に対するメッセージを強めに出しているときは星野さんの考えがあると思ってもらえたら」-。
球児からすれば、脚光を浴びさせてもらったのは間違いなく前監督で現在はオーナー付顧問の岡田彰布と言えるだろう。ブルペンで力を発揮するタイプと見抜き起用し、今につながる成功を収めさせた。
球児の初勝利は星野が阪神監督1年目の02年9月だが、正直に書けば、星野は当時の球児についてそれほど高い評価をしていた訳ではなかったように思う。可能性は感じていたが先発投手としてのスタミナなどに満足しておらず、虎番キャップだった当時の記憶をたどってもその口から「球児」という言葉が出ることは多くなかった。
それでも指揮官・岡田の時代になって「JFK」の一員として球児が成長したことには喜んでいたし、同じ右腕として熱い視線を送っていたのは間違いない。自身が監督を務めた08年北京五輪の日本代表メンバーにも選んでいる。
「いいな」と思うのは球児が節目の日にしっかりと闘将の名前を出したことだ。「冷たくされた指導も大事なんで。自分で生き抜いていくためにはその時間も大事。ユニホームを着ていない時間は星野さんの教えが一番強いかも」。
球児らしい言い回しだが、ドラフト指名時の野村克也、そして星野、岡田、そんな名将たちの教えを自身に刻み込ませていることを示したのかもしれない。
球界最高齢監督だった岡田の後を受け、一気に若返った阪神の指揮官。それでもその中に過去の監督たちのエキスも生きていると思えば、往年のファンにも親近感がわくだろう。
老若男女を問わず、すべてのファンを取り込んでいく。それが現在の阪神タイガースでもある。当コラム、本年もよろしくお願いします。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)
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記者生活30年超の高原寿夫・編集委員が、今シーズンの岡田タイガースに鋭く迫ります。