◆評論家
セルジオ越後(せるじお・えちご)
1945年(昭和20年)7月28日、サンパウロ生まれ、日系2世。18歳で名門「コリンチャンス」とプロ契約。右ウイングとして活躍しブラジル代表候補にも選ばれる。72年来日。藤和サッカー部(現:湘南ベルマーレ)ではゲームメーカーとして貢献。辛辣で辛口な内容とユニークな話しぶりにファンも多い。
日本はぎこちないチームだった
<W杯:日本1-2コートジボワール>◇1次リーグC組◇14日◇レシフェ
今までやっていないことをやってしまった。今までの準備、メンバー選考はなんだったのだろう。この暑さの中で90分間出られない長谷部を使うという意味が分からない。普段から6人交代の試合に慣れきってしまっているからだ。吉田を上げる戦術だって、いつやったんだ。すべてはザッケローニ監督がW杯1年生ということ。今日は練習試合とは相手が違うし、総合的な力も相手の方が上だった。交代選手だって向こうは切り札を出してきたけど、日本は?
日本は先制して引いてしまった。足も止まってしまったし、3、4点取られてもおかしくない出来だった。相手より走れるチーム作りができなかったのが、結果に出てしまった。準備不足だし、甘く見ていたのだろう。交代した選手も相手を追いかけられないし。もっとチャレンジャーというひたむきさがないと。
香川の不調も長いし、いろいろ問題がはっきり出てしまった。ただ、まともにやったら勝てる相手じゃない。勝てると思っていたところに失敗があって、これが世界なんだと反省ができれば、次の試合にまだ望みがあると思う。僕は最初からコートジボワールの方が上だと思っていたから。まだ世界との差が縮まっていないということ。
反省をして、下向くことなく、自分より強いところに負けたんだ、世界は強いんだと思えば、次も戦える。あとはザッケローニ監督が次にどういうメンバーを選ぶのか。香川をベンチスタートにするところから始まるのが基本じゃないか。今の出来を見たら、次に出られるというものはどこにもなかった。切り替えなければならない。マンネリ化したチームをぶちこわして、新しい人たちを使って「よっしゃ」という勢いを出さなければならない。そうじゃなければ連敗もあるだろう。大久保先発とか、何かいじらなければどうしようもないんじゃないか。
本田は得点だけだったね。あとは孤立して、囲まれたらほとんど取られていたし。あとはシュートを打つ意識が、得点以外はほとんどなかった。チャンスはあったんだけどね。それがチームのシュートがたった7本ということじゃないか。相手は20本でそれが力の差。香川がもう少し調子が良ければ、本田ももう少し楽になっただろうし。日本はぎこちないチームだった。
次の勝負をするためにザッケローニ監督がどういう手を打つかが、この4年間が良かったかどうかの判断になる。
でもまだまだ終わってないから、今の時点ではやるしかない。切り替えを早くしなければいけない。スペインも負けている。これで初心に戻った。優勝ということはもうだれも言わないし、言う権利もないし。無我夢中で世界にどうぶつかっていくというところに戻れば、また戦える。次は90分間走りきれるか。選手選びとか、試合の局面とか、ザッケローニ監督の4年間の腕の見せ所じゃないか。3連敗で帰ってきたら、ザッケローニ監督の4年間は大失敗ということ。(日刊スポーツ評論家)