◆評論家
セルジオ越後(せるじお・えちご)
1945年(昭和20年)7月28日、サンパウロ生まれ、日系2世。18歳で名門「コリンチャンス」とプロ契約。右ウイングとして活躍しブラジル代表候補にも選ばれる。72年来日。藤和サッカー部(現:湘南ベルマーレ)ではゲームメーカーとして貢献。辛辣で辛口な内容とユニークな話しぶりにファンも多い。
日本のサッカーは終わった
<W杯:日本0-0ギリシャ>◇19日(日本時間20日)◇ナタル
コートジボワールよりギリシャの方が力が劣るのだから、今日の引き分けは初戦の負けより痛い。いろんな試合を見ているけど、日本が1番走っていない。コンディションをもっと良くするとか、コンディションの良い選手を選ぶとか、そのあたりの修正が必要。コロンビアの決勝トーナメント進出が決まって、次にコートジボワールが有利。日本は奇跡を祈るしかない。
香川が途中交代で入っても何も状況は変わらなかった。彼のコンディションは良くない。
今までやったことのないようなことをやってばくちだよね。真ん中に集まりすぎたり、背中を向きすぎたり。縦に出るスピードが少なくて、横にバックラインでボールを回している時間が長い。放り込めば、相手の1番強いところではね返される。
本田のシュート意識が低く、FK以外は打とうとしない。ボランチの選手はシュートゼロ。これでは勝てない。ただボールを支配している時間は長い。相手も10人になって疲れるかなと思ったら、単純すぎる攻撃で。最後、吉田を上げて。4年間やってきたことは何なんだろうということになってきた。ザッケローニ監督も打つ手がないんじゃないか。
本田はFKを蹴るなと言いたい。止まったボールしか蹴れないのか。FKを蹴る人は前が空いたら蹴らなくちゃ。大久保の良いシュートだけが目立つ。岡崎もシュートないし、香川もシュートないし、シュートがないチームが勝てるわけがない。ボールを回しているだけ。スペインと日本のサッカーは終わったなという感じがした。
記者会見でザッケローニがパススピードが少なかったとか、本田がアイデアが少なかったとか、足りなかったものばかりで結局、彼らは代表に相応しくないということ。僕はいろんな試合を見ているけど、1番走ってないのが日本。だから本来のW杯の力、個人技、チーム力、監督の経験、すべて低い。ザッケローニも不合格。チームの作り方、選手の選び方、冴えてない。遠藤と長谷部をいつも半分ずつやらせるのはいかがなものか。
日本以外のチームは全部素晴らしい。見ていて感動する。よく走るし、戦うし。無我夢中になって得点を取ろうとする。そのあたりが、パス、パス、パス、パスの日本は見ていてイライラする。
日本の選手たちはよく「自分たちのサッカー」っていうけど、それが通用しないんじゃないか。世界をなめている。足元のサッカーは通用しない。他のチームはスペースに走ったり、運動量も抱負。足元サッカーはボールを支配する時間は長いけど、シュートを打たない。だから勝てない。
最後、吉田を2試合連続でトップに張らせるのもいかがなものか。
スペースに走ったり、スペースをつくったりする動きができていない。ベテランのチームみたい。それでは相手の重いバックラインは破れない。どこまで崖っぷちという感覚でやれていたのか。
最後のコロンビア戦ではコンディションももっと悪くなるはず。どういう選手を選んで、使っていない選手をどう利用するかというのもポイントになってくるんじゃないかな。もう同じ先発で同じ交代ではダメだろう。1番強いところとやるんだから。(日刊スポーツ評論家)