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第16回フランス大会

ブラジルV逸で経済損出182億円


 大会終了後から準優勝国ブラジルの話題が、優勝国のフランスをしのぐようになったのは、何とも皮肉だった。理由は決勝戦のロナウドにあった。

 ブラジルの先発が開始1時間前に発表された。記載されていたのは両ひざ痛のエースではなく、エジムンドだった。しかし、その直後に大会ボランティアが、記者席に配布したメンバー表を回収する不思議な行動に出た。そして、再び配布された先発表には「ロナウド」と書かれていた。キックオフ後に判明した。ロナウドの体調が最悪だったということが。シュートは1本に終わった。

 実は試合1時間前、神経性胃炎のためパリ市内の病院で治療を受けていた。宿舎で同部屋だったロベルト・カルロスは決勝前夜に、エースが引きつけを起こしていたと証言。担当のトレド医師は「24時間、過緊張の状態を送っていたことが理由」と説明した。

 一部ではブラジルのスポンサーが、政治的な思惑でロナウドを強制出場させたとも報じられた。主将ドゥンガは醜い実態が暴露されていく過程に「彼の病状を決勝までに公開すべきだった」と周囲を痛烈批判。だが、起用したザガロ監督は「使えると判断したから」と詳細には一切触れていない。

 ブラジルでは2大会連続の優勝を逃したことで、企業などの広告を含めた経済的損失が182億円に上るとも言われた。カナリア軍団の悲劇と汚名を、永遠に残す大会でもあった。【98年大会取材・横田和幸】

















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