第16回フランス大会
チケットめぐり大騒動
W杯初出場で日本列島は狂騒に包まれるが、社会問題が生じていた。試合会場に入るチケット不足が、開幕後に判明したのだ。
日本国内の複数の旅行会社が観戦ツアーを中止。国際サッカー連盟が依頼した販売コンサルタントが、チケットを空売りしていたことが理由と見られた。旅行会社を相手どって、利用客が損害賠償請求する騒動にまで発展してしまった。
そして、フランスの空港では、日本人が置引に遭う被害が続出した。荷物の中にチケットが入っていれば転売できるため、狙われたわけだ。チケットを持たない日本人も強行現地入りし、日本大使館に「何とかしてほしい」と直談判したが不可能だった。日本戦では62万円という高値で吹っかけられた人もいた。決勝は9000円弱のチケットが140万円で売られたという。日本人を標的に、その値段は天井知らずだった。
もう1つの場外の話題として、またもサポーターの暴徒化があった。6月21日にはドイツ人サポーターが起こした暴動にフランス人警官が巻き込まれ、一時は意識不明に陥る重体となった。
一方でチケットがなく会場に入れなかった日本人サポーターを現地紙が「水色の大型ごみ袋を携帯して観戦する日本人は、自分たちのごみを片付けるな ど品行方正だ」と伝えた。4年後に控えた日韓共催のW杯に向けたホスト国のアピールにもなった。【98年大会取材・横田和幸】