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第17回日韓大会

幻の暴徒に怯えたススキノの寒い夜


 北の歓楽街は、どこか寂しげだった。02年W杯1次リーグ最大の注目カードだったアルゼンチン-イングランド。MFベッカムの高速PKで、宿敵に4年前のリベンジを果たしてイングランドが勝った夜、3万5927人で膨れ上がった札幌ドームの興奮は、札幌ススキノにはなかった。

 W杯景気のもくろみは外れた。本場イングランドの暴徒サポーター「フーリガン」という名前ばかりが先行し、ススキノ地区は3割が休業。観光客も出歩くのを避け、全国から集められた7000人の警官が、物々しい雰囲気を醸し出していた。

 イングランド人サポーターの1人は「どこへ行っても追い返される。ただ、ビールを飲みたいだけなのに」とあきれ顔でため息をついた。風俗店の呼び込みは「店長から日本人しか入れるなと言われている。なぜ? 店の女の子に万が一のことがあったらヤバイから」と説明した。確かに、受け入れることより排除する方が簡単。売り上げ減でも「事なかれ主義」を選ぶのも日本の流儀なのか。W杯による経済効果は全国で約3700億円あったといわれたが、裏にはこんなマイナス面もあった。

 日本代表がロシアから歴史的勝利した夜、大阪の戎橋では道頓堀川に2008人がダイブした。東京でも渋谷など繁華街でお祭り騒ぎ。信号によじ登ったり、車の通行を邪魔したり迷惑行為のオンパレード...。母国の勝利を酒場で喜ぶことさえ制限された外国人サポーターは、その光景をどんな目で見ていただろうか。【02年大会取材・西尾雅治】

















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