第17回日韓大会
「わが家」で日本、ロシアから歴史的1勝
日本で初めてのW杯は韓国での開幕戦から1日遅れで始まった。街はW杯の話題であふれ、ワイドショーまでも連日サッカー一色。日本人はこんなにサッカー好きだったのかと錯覚させられるほどのお祭り騒ぎだった。
だが、ホスト国の日本代表は、この騒ぎとは別世界にいた。静岡・袋井の純和風リゾートホテル「葛城北の丸」をベース基地に合宿。広大な敷地への入り口には警備員が立ち、練習中でさえマスコミもシャットアウトした。選手は周囲の雑音とは無縁の場に置かれていた。
日本は1次リーグでベルギー、ロシア、チュニジアと同組になった。世界の強豪とは言い難い相手と、いつもの親善試合と変わらないスタジアム、ほぼジャパンブルーで埋まる観客席の雰囲気...。「まるでキリン杯のよう。自分が実際にW杯を戦っているという感覚があまりない」と漏らした選手の言葉にも、素直に納得できた。
裏を返せば、普段のリズムで試合に臨めたということ。4年にわたり日本代表を率いたトルシエ監督が、日本人の気質とホームの利点を最大に生かしたといえる。「わが家」で戦った日本は2戦目でロシアからW杯初勝利を挙げ、続くチュニジア戦も快勝。目標だった1位で1次リーグを突破した。だが、トルシエ監督が「ボーナス」と表した決勝トーナメント1回戦だけは、我を失った試合だった。
先発2トップが鈴木、柳沢から西沢、三都主に代わる奇策にチーム全体が戸惑い、リズムを修正できないままトルコに0-1。スコア以上の完敗で、日本のW杯は後味の悪さを残して終わった。【02年大会取材・西尾雅治】