舞台雑話

尾上音蔵が英語通訳として登場 流ちょうな通訳ぶりに中村虎之介「本職は歌舞伎俳優ですからね」

東京・歌舞伎座(2020年6月29日撮影)
東京・歌舞伎座(2020年6月29日撮影)

11月の歌舞伎座は特別公演「ようこそ歌舞伎座へ」を上演中です。舞台機構設備の工事のため、昼の部を中心として休演日も多い変則的な公演となっています。中村虎之介(26)の案内による「ようこそ歌舞伎座へ」に「三人吉三巴白浪」「石橋」が上演されていますが、いつもの公演では2万円もする1階桟敷席が9000円のほか、2等席4500円、3等席3000円と割安なこともあってか、多くの観客が詰めかけ、海外からの来場者もいつも以上でした。

「ようこそ歌舞伎座へ」では、松本幸四郎が舞台裏を紹介する映像が流れ、虎をはじめ猪、犬、狐、鼠など歌舞伎に登場する動物たちが舞台上に集結し、観客も大喜びでした。その後の演目の出演者をゲストに迎えたトークコーナーでは、英語通訳として尾上音蔵(おとぞう、36)が登場しました。海外からの来場者向けなのでしょうが、ネイティブのような流ちょうな通訳ぶりに、虎之介が「本職は通訳ではなく、歌舞伎俳優ですからね」と言うほどでした。

音蔵は国立劇場の歌舞伎俳優研修の修了生で、2013年に尾上菊五郎のもとに入門しました。小さい頃は南アフリカで過ごした帰国子女だけに、英語は堪能で、日本俳優協会のYouTubeチャンネル「歌舞伎ましょう」では歌舞伎の化粧などを英語で解説していました。3年前には研修修了生を中心とした稚魚の会・歌舞伎会の合同公演「魚屋宗五郎」で師匠菊五郎の当たり役である宗五郎に挑み、見事に演じていました。

音蔵はインスタグラムで「毎回通訳内容が変わるため、非常に緊張しています。英語は小学生レベルなので、プロの方とは比べるべくもありませんが、少しでも海外のお客様が歌舞伎を楽しめるように微力を尽くしたい」とコメントしています。普段の公演ではあまり日が当たらないけれど、今回は英語のできる歌舞伎俳優として、音蔵が注目されたことは間違いないでしょう。【林尚之】

華やかな舞台、輝く役者。夢の世界であると同時に、そこには舞台裏とさまざまな人間模様もあります。演劇、演芸について、林尚之記者がさまざまな切り口から伝えます。あなたも、演劇の世界がきっと好きになります。

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