パリでもブレない尾花夏樹のキャラに共感/グランメゾン・パリ(日)
2019年10月期にTBS系で放送された連続ドラマ「グランメゾン東京」の5年ぶりの新作として、昨年12月29日に同系で放送されたスペシャルドラマと合わせたプロジェクトとして世に放たれた。主演の木村拓哉演じるフランス料理のシェフ尾花夏樹が、鈴木京香演じるスーシェフ(副料理長)早見倫子と本場・パリで、新店舗「グランメゾン・パリ」を立ち上げ、アジア人初のミシュラン3つ星獲得を目指す。
尾花は自身の腕とセンスに絶対的な自信を持ち、料理作りに人生をささげ一切の妥協がない。その言動は時に攻撃的で、周囲との衝突も辞さない。前作のドラマから5年…そうした抜きんでた個が貫くストイックなスタンスを、パワハラなどと捉えられかねない世の中になっていく一方だが、パリを舞台に尾花は、ますますとがっている。ブレないキャラに共感を持った。
連ドラの冒頭もパリで撮影したが、昨年3月にパリで行った大規模ロケに加え、木村をはじめ俳優陣が挑んだフランス語の芝居は、映画にふさわしいスケール感として画面に出ている。タクトを振ったのは、連ドラから演出を手がけ、映画「ラストマイル」を興収約60億円のヒットに導いたことも記憶に新しい塚原あゆ子監督…納得のできだ。
尾花はパリで、料理作りの生命線である仕入れから高い壁を痛感させられ、失敗の連続の中、店のメンバーの前で「俺に力を貸して欲しい」と頭を下げる。孤高の存在だった尾花の人間的な成長を演じた、木村の芝居が胸の奥に残る…。【村上幸将】
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