今から41年前、交流戦の助けを借りず12球団勝利を達成した右腕/物語のあるデータ

交流戦開催中には「12球団制覇」なる記録がよく登場します。打者なら本塁打、投手なら勝ち星。今年は近藤健介(ソフトバンク)と鈴木大地(楽天)の打者2人が全球団からの本塁打を記録した。投手では山崎福也(日本ハム)が王手をかけたものの、達成者は出なかった。投手の難易度が高いかもしれない。交流戦(05年から)が始まる前の時代、達成は極めて難しかっただろうに、第1号は1983年に生まれていました。

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■打者46人 投手20人

打者の達成者は今年で46人になった。近藤が6月15日の阪神戦で初回に3ランして45人目。翌16日には鈴木大が広島戦で2ランを放って全球団を制し、交流戦の初優勝に貢献した。

対して投手は20人しかいない。移籍1年目の山崎は5月21日の古巣オリックス戦で初勝利を挙げて5連勝とし、流れに乗った。交流戦で阪神、広島に勝てば、12球団制覇となる展開に持ち込んだ。

最初の交流戦相手は阪神だった。5月30日の第3戦に先発、6番打者として打っては先制適時打、投げては7回を3安打無失点。投打に大活躍して王手をかけた。残すは6月4日から対戦する広島だけとした。

ところが、3連戦中1度も登板がなかった。広島戦終了の翌日、ヤクルト戦に先発した。1日遅かった。中7日のローテーションを崩してまで挑む記録ではないということだったのか。達成は来年以降に持ち越された。

交流戦のある今はリーグを問わず2球団に所属すれば、全球団制覇は可能だ。開始以前は、セで2球団、パでも2球団以上の所属がないと達成できない記録だった。それでいて、移籍の自由もない中、83年に史上初めて「12球団制覇」の投手が現れた。

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徳島・吉野川市出身。1974年入社。
プロ野球、アマチュア野球と幅広く取材を続けてきた。シーズンオフには、だじゃれを駆使しながら意外なデータやエピソードを紹介する連載「ヨネちゃんのおシャレ野球学」を執筆。
春夏甲子園ではコラム「ヨネタニーズ・ファイル」を担当した。