【田宮裕涼と香川伸行】愛嬌があって、打てて、みんなから愛されて/物語のあるデータ

球宴初開催のエスコンフィールドにふさわしい、新顔の選出でした。日本ハム田宮裕涼捕手(24)が、実力で初舞台をつかみました。入団6年目、初の開幕マスクを任されると、3割をキープして突っ走ってきました。ファン投票、選手間投票でも1位に。かつて、人気先行の捕手が初の開幕マスクを得て打撃開眼、球宴に初出場したことを思い出しました。「ドカベン」こと南海の香川伸行―。この世を去って、ちょうど10年になります。

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■前半戦は3割6厘、本塁打2、打点27。得点圏打率3割7分5厘が光る

田宮が球宴直前、7月16日の楽天戦でその存在を改めてアピールした。

4-4で迎えた延長10回、2死二塁から中越え二塁打を放ってサヨナラ勝利をもたらした。代走からの途中出場だった。

チームは5割復帰、3位タイに浮上した。「もう1回、自信を持ってやっていきたい」。手荒い祝福を受けながら、自らに言い聞かせた。

スタメン出場した前日の同カードで大量16失点し、自信を喪失していた。バットも、同12日のソフトバンク戦から8打席無安打で6三振。打率は3割1分2厘に落ち、規定打席不足となって、2位にいた打撃成績表からも姿を消した。

それでも前半戦は辛うじて3割を守る3割6厘、本塁打2、打点27。得点圏打率の3割7分5厘が光る。

開幕ロッテ戦の初打席で中前打すると、犠打をはさんで右前打も。初戦を2打数2安打1打点の10割でスタートして勢いに乗った。

交流戦に入っても衰え知らず。6月6日の広島戦では4番に入り、2安打した。2番を除く8つの打順をこなし、しっかり3割をキープしてきた。

ドカベン香川の開幕初マスクは4年目、1983年4月9日のことだった。

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徳島・吉野川市出身。1974年入社。
プロ野球、アマチュア野球と幅広く取材を続けてきた。シーズンオフには、だじゃれを駆使しながら意外なデータやエピソードを紹介する連載「ヨネちゃんのおシャレ野球学」を執筆。
春夏甲子園ではコラム「ヨネタニーズ・ファイル」を担当した。