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紙面企画

Ola! WorldCup

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毎週水曜日の紙面ブラジルW杯ワイド特集「Ola! World Cup」に掲載された特集記事を余すとこなくお届けします。

ガルシア&カンポスに聞いた 勝者の戦法


 日本同様、体格面では世界に劣りながらも、5大会連続で決勝トーナメント(16強)に進出している伏兵がいる。北中米の雄、メキシコ。2大会連続の1次リーグ突破を目指す日本にとって、その戦い方は絶好のお手本になる。そこで元メキシコ代表のGKホルヘ・カンポス氏(47=テレビ解説者)とFWルイス・ガルシア氏(44=同)を直撃。世界で勝ち上がるスベとは何なのかを探った。【取材協力=信藤大輔氏、構成=福岡吉央】

 W杯1次リーグでコートジボワール、ギリシャ、コロンビアと同組になった日本。3カ国ともフィジカルや身長で日本に勝るが、そんな相手を破り、日本が決勝トーナメント進出を勝ち取るために必要なことは、いったい何なのか。ともに小さな体で世界に立ち向かってきた元メキシコ代表の2人が口にしたのは「自分たちのスタイルを貫き通すこと」だった。

 メキシコは決して体格的には恵まれていない。10年W杯南アフリカ大会のメキシコ代表23人の平均身長は、出場32カ国中29番目の178・0センチ。1位はセルビアの186・0センチで、日本は同25位の178・8センチだった。だが、カンポス氏は「相手の体格はあまり関係ない」と言い切る。

 「相手のサイズやスピード、タフさはあまり重要ではない。勝者のメンタリティーを持ち、冷静な頭を使って自分たちのサッカーをすることが大切。前回のW杯でも優勝したスペインは皆、身長が低かった」

 カンポス氏とルイス・ガルシア氏が主力として出場した94年W杯で、メキシコはイタリア、アイルランド、ノルウェーと同じ死の組と言われた。だが、欧州3カ国を相手に自分たちの持ち味とするショートパスを多用するサッカーを貫き、1勝1分け1敗で16強入りを決めた。カンポス氏は「精神的な強さがチームの強みだった。試合前に話し合ったのは戦術的なことではなく、その試合が持つ意味や代表選手が母国を背負う意味だった」と、当時を振り返る。

 イタリア戦での指示は「絶対にボールを渡すな!」だった。ボールを奪ってからの攻撃が速い相手に対し「自分たちのサッカーを貫くことで、相手の良さを消すことが大切だった」(カンポス氏)という。

 逆に自分たちのサッカーができなかったことで、8強進出は阻まれた。決勝トーナメント1回戦の相手はブルガリア。互いに1人ずつが退場し、1―1からPK戦の末に敗れた。後半途中で退場したルイス・ガルシア氏は「格下の相手に勝てなかったのは、ブルガリアのスタイルであるカウンターを許してしまったから。私が退場になって試合展開も変わってしまった」と明かす。チームに「このまま試合が続けば勝てる」という過信があったことも影響したという。

 日本代表FW岡崎はかつて、10年のW杯南アフリカ大会でメキシコに注目。「僕らが理想とするサッカーをやっていた。負けても自分たちのサッカーを貫き通すメンタリティーはすごい」と話したことがある。世代が変わっても、ショートパスで相手を切り崩すメキシコのスタイルは、今も受け継がれている。

 ではW杯で酸いも甘いも味わった2人の目には、今の日本はどう映っているのか。昨年6月のコンフェデ杯を現地で解説したカンポス氏は「3試合見て、結果は出せなかったが面白いチームだと思った」と印象を語り「昔、私が対戦した頃の日本はスピードのあるチームというだけだったが、今はスピードとポゼッションを織り交ぜている」と、チームとしての成長を認める。

メキシコリーグでテレビ解説を務める元メキシコ代表GKホルヘ・カンポス氏とFWルイス・ガルシア氏(左)(撮影・信藤大輔氏)

 いい選手として名前を挙げたのはMF本田とMF香川。「各選手がいいコンディションでW杯に臨むことができれば、日本は強豪の1つになると思う」といい「親善試合の結果よりも、いい状態でW杯を迎えることが重要」と説いた。一方のルイス・ガルシア氏は「日本は短期間で急激な進化を遂げている」と話す。「スピードがあって賢い。保持率を高め、主導権を握る。技術も素晴らしい。ゲーム中に即興で展開を作れるクリエーティブ能力もある。選手はよく走るし、瞬発力もある」と分析した。

 それでは、日本はW杯でどんなサッカーをすればいいのだろうか。カンポス氏は「カウンターが(相手には)一番嫌だね」と即答した。「日本はスピードがあるし、タレント性のある選手も多い。この2つを兼ね備えているということは、相手にとって常に危険だということ。世界でプレーする選手が増えたことが代表のレベルアップにもつながっている」と評価する。

 ルイス・ガルシア氏も「スピードがある縦への展開は相手が嫌がる。スピーディーな攻撃ができれば相手を苦しめることができると思う」と助言。さらに「日本が相手なら、プレッシャーをかけて、DFラインを上げて攻め上がる。日本の弱点は試合終盤に気を抜くところ。疲れなのか、過信なのか分からないが、結構終盤に失点しているよね」と指摘した。

 メキシコのレジェンドたちがイチ押しする「相手が嫌がるスピードのある縦への攻撃」。日本代表が自分たちが貫くべきスタイルを確立させた時、決勝トーナメントへの道が開けるのかもしれない。

 ◆ホルヘ・カンポス 1966年10月15日、メキシコ・アカプルコ生まれ。94、98、02年W杯メキシコ代表。代表キャップ数130。プーマスUNAM、LAギャラクシー(米)、シカゴファイアー(米)などに所属。GKながらFWとしてもプレーする異色の小柄GKとして人気を博した。04年に引退。175センチ。

 ◆ルイス・ガルシア 1969年6月1日、メキシコ市生まれ。94、98年W杯メキシコ代表。96年アトランタ五輪代表。代表キャップ数79、29得点。プーマスUNAM、Aマドリード(西)、Rソシエダード(西)、アメリカ、グアダラハラなどに所属。メキシコリーグで3度得点王に輝く。01年に引退。170センチ。

















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