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紙面企画

Ola! WorldCup

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毎週水曜日の紙面ブラジルW杯ワイド特集「Ola! World Cup」に掲載された特集記事を余すとこなくお届けします。

4年に1度スター誕生の瞬間を見逃すな


 4年に1度のW杯は、常に新たなヒーローを生み出してきた。ブラジル大会で飛躍が期待されているスター候補の筆頭が、連覇を狙うスペイン代表のMFコケ(22=Aマドリード)。今季はクラブを欧州チャンピオンズリーグ決勝に導き、代表の大先輩シャビ(34=バルセロナ)から「僕の後継者」とお墨付きももらった。コケをはじめとするW杯期待の若手6人を紹介する。

左からショー(イングランド)、ロドリゲス(コロンビア)、コケ(スペイン)

<シャビが認めた司令塔/スペイン代表MFコケ>

 3月下旬、欧州CL準々決勝バルセロナ-Aマドリード戦を前にバルセロナMFシャビの発言に注目が集まった。「コケは飛び抜けた選手。才能もフィジカルもすべて持っている。同じポジションだから特に気にかけているけど、彼は今後10年、スペインの司令塔として活躍できると思う」。相手の若きプレーメーカーを絶賛し、自分の後継者に指名した。

 W杯ブラジル大会を控え、王者スペインの評価は芳しくない。昨夏のコンフェデ杯決勝でブラジルに敗れ、昨年11月の親善試合では南アフリカ(FIFAランク65位)にも負けた。英老舗ブックメーカー・ウィリアムヒル社の優勝予想オッズでもブラジル、アルゼンチン、ドイツに次ぐ4番手。34歳シャビの運動量が落ち、簡単にボールを奪われるようになってきたのが、スペイン不人気の最大の理由だ。

 コケにとってブラジルは、シャビのポジションを奪うチャンス。バルセロナとのCL準々決勝2戦目では中央でプレーを組み立てた後に、相手DF裏のスペースに回り込み、こぼれ球を押し込むという、オールラウンドな特長を生かしたプレーで決勝点。代表より一足先に世代交代を実現させた。

 昨季欧州CL準決勝では、バルセロナが2戦合計0-7でBミュンヘンに大敗。今季もCL準々決勝で敗れた。中盤でショートパスをつなぎ、ボール保持率を高めて攻める「ティキ・タカ」という戦術が、もう通用しないとの意見も出てきた。同様の戦い方をベースにする代表についても不安の声が上がっている。

 そんな評判を覆すには「スペイン代表としてプレーすることをこの上なく誇りに思う。これまでの輝かしい成績を今後も継続していきたい」と話すコケの活躍が不可欠だ。海外メディアでは日本代表FW香川とのトレード話がうわさとなり、バルセロナも獲得を検討しているという逸材。子供のころからプレーするAマドリードでスペインリーグを制し、欧州CL決勝進出の夢はかなえた。今度は代表での世界一というもう1つの夢に挑戦する。

 ◆コケ 1992年1月8日、スペイン・マドリード生まれ。8歳でAマドリード下部組織に入団して以来、アトレチコ一筋。各年代のスペイン代表に選出され、12年ロンドン五輪にも出場。13年U-21欧州選手権ではイタリアを破って優勝した。相手選手の間でボールを受け、そこからスルーパスを出したり、ドリブル突破でシュートを狙う万能型MF。本名はホルヘ・レスレクシオン。「コケ」に特別な意味はなく、ホルヘと発音が似ているところからついたスペインでは一般的な愛称。

<バルデラマ継ぐ「少年」/コロンビア代表MFハメス・ロドリゲス>

 コロンビア代表MFハメス・ロドリゲス(22=モナコ)は、FWファルカオと並んでコロンビア代表をけん引する若きゲームメーカー。左足の正確なキックも武器で、FKは脅威だ。

 80-90年代に活躍した同国代表の名選手カルロス・バルデラマ氏の後継者と呼ばれている。同じ背番号10をつけ、愛称も同氏の「エル・ピーペ(少年)」をもじった「エル・ピーペ・ヌエバ(新しい少年)」。同氏は「私が今まで見てきたどの選手よりも能力と情熱がある」と高評価し、ロドリゲスも「後継者と言われることは名誉。彼は私のヒーローで、彼のようになりたかった」と喜んでいる。

 ポルトで2季連続2ケタ得点を記録。昨季、移籍金4500万ユーロ(約63億円)で、ファルカオと同時期にモナコ入りした。膝の手術からリハビリを続けているファルカオのW杯出場を熱望しており、実現すれば、他国にとってはやっかいなコンビとなる。

<テクニック+スピード/イングランド代表DFルーク・ショー>

 ソファからピッチへ-。イングランド代表DFルーク・ショー(18=サウサンプトン)は2年間で急成長し、代表の座を射止めた。8歳で下部組織に入って以来、サウサンプトン一筋。12年11月にプレミアデビューを果たすと左サイドバックのレギュラーに定着した。左足クロスの精度はもちろん、相手DFを抜きさるスピードは抜群。元サウサンプトンの先輩になぞらえ「ベール(Rマドリード)2世」と言われる。

 代表には、3月に初招集された。3大会連続出場中だったDFコール(チェルシー)を押しやり、メンバー入り。ホジソン代表監督も「テクニック、スピード、エネルギーを兼ね備えている」と絶賛する。前回大会は家のソファに座ってテレビで見ていたという。今大会はプレーする側。マンチェスターUやチェルシーなどビッグクラブが狙う超新星は「18歳で国を代表して出場できるのは、最高の気分」と話している。

左からクロトワ(ベルギー)、クカク(ベルギー)、ベラッティ(イタリア)

<身長165センチ「パスマシン」/イタリア代表MFマルコ・ベラッティ>

 身長165センチと小柄なイタリア代表MFマルコ・ベラッティ(21=パリサンジェルマン)は、ピッチでの存在感が絶大だ。豊富な運動量でボールを奪うと、右足から長短の正確なパスを供給する。そのプレーぶりから「ピルロ2世」と呼ばれるがピルロよりやんちゃ。得点を決めた195センチのイブラヒモビッチに飛びかかるように抱きつき、祝福する。その姿はパリのいつもの光景になりつつある。

 ペスカラでプレーしていた11-12年に転機が訪れた。ゼーマン監督のもとトップ下から守備的MFにコンバートされた。もともとボール奪取力にも定評のあったベラッティは一気に開花。チームをセリエAへと昇格させると、自らは5年契約でパリサンジェルマンへ移籍した。

 W杯では、出場機会は限られるかもしれない。ただ、パリサンジェルマンがセリエA経験のない若者のために、移籍金1200万ユーロ(約16億8000万円)を払った実力は本物だ。

<DF吹き飛ばす重戦車/ベルギー代表FWロメル・ルカク>

 ベルギー代表FWロメル・ルカク(21=エバートン)は190センチ、100キロの体を武器に相手DFを突破する、まさに重戦車だ。ベルギー1部アンデルレヒトで08-09年シーズンにデビューすると、10-11年シーズンには16得点で、18歳で最年少得点王に輝いた。

 コートジボワール代表のFWドログバ(ガラタサライ)をほうふつとさせる外見とプレースタイルから「ドログバ2世」と言われる。11年8月、幼い頃から大ファンだったというチェルシーへの移籍が決定。移籍金は1800万ポンド(約24億円)と報じられた。

 12-13年シーズンはウェストブロミッジに期限付き移籍し、17得点を挙げた。今季はまたも期限付きでエバートンでプレーし、31試合15得点でチーム最多得点を記録した。同じエバートンから世界のトップ選手となったFWルーニー、MFフェライニ(ともにマンチェスターU)のように、W杯でさらなる飛躍を遂げるか。

<元SB…199センチの巨大壁/ベルギー代表GKティボー・クロトワ>

 ベルギー代表GKティボー・クロトワ(22=Aマドリード)は199センチ、91キロの超大型GKだ。同国ブレーの地元クラブでサッカーを始めた当初は左サイドバックだったが、7歳の時にゲンクに移籍。GKにコンバートされると頭角を現し、16歳の若さでトップチームデビューを果たした。

 クロトワは現在、チェルシーから期限付きでAマドリードに移籍中。それなのに今季欧州CL準決勝では、チェルシーを2試合で1失点に封じてしまった。相手のモウリーニョ監督もこれにはお手上げで、来季はクロトワを呼び戻すことを決意したと言われる。チェルシーGKチェフは脱臼した左肩を手術したばかり。「チェフ2世」のクロトワにはプレミアの舞台での先発に期待がかかる。

 クロトワは今季37試合中20試合で敵を完封。これは欧州主要1部リーグではローマGKデサンティスの21試合に次ぐ記録。安定したセーブをW杯でも見せる。

 ◆W杯最優秀若手選手賞 06年ドイツ大会から制定され、同大会では、ドイツFWルーカス・ポドルスキ(21)が3得点を挙げ選出された。10年南アフリカ大会でも、ドイツFWトーマス・ミュラー(20)が5得点を挙げ、ゴールデンブーツ賞(得点王)とともに受賞した。なお06年以降、58年スウェーデン大会~02年日韓大会をFIFAのインターネット投票で選出。それによると、58年スウェーデン大会はブラジルFWペレ(17)、66年イングランド大会はドイツDFベッケンバウアー(20)、98年フランス大会はイングランドFWオーウェン(18)が選ばれている。※年齢は当時。

















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