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紙面企画

事件記者清水優 ブラジル体当たり

事件記者清水優 ブラジル体当たり

◆清水優(しみず・ゆたか)1975年(昭50)生まれ。38歳。東京外大ポルトガル語学科卒。98年入社。静岡支局、文化社会部、朝日新 聞社会部警視庁担当を経て、文化社会部に帰任。事件、事故など中心に行き当たりばったりながら体当たりで取材。体重95キロ。

大丈夫か!? やっつけ本番の笑える空港


 【リオデジャネイロ9日(日本時間10日)】サッカーW杯ブラジル大会の開幕が直前に迫り、各国代表やサポーターが連日ブラジル入りしている。一方で、現地の玄関口となる空港では、依然工事が続いていた。リオデジャネイロのガレオン空港はW杯に向け、未完成部分に板を張って隠したり、間違った案内板を張り直したり。外国人向けに案内係のボランティアもスタンバイしているが、英語が通じない人も。大体できた感はあるが、本当に大丈夫か。

 リオデジャネイロの「ガレオン-アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港」。ボサノバの父、ジョビンがうたった1952年開港のハブ空港では、W杯に向けた改装が、まだまだ、続いていた。

 2つのターミナルをつなぐ動く歩道は、片側に「メンテナンス中」の看板が置かれ、踏み板が外れていた。もう片側は高さ180センチほどの白いついたてで隠されており、「みなさまのために作業中」と書いてある。作業中の白人男性に完成予定を聞くと、ゆっくりと目をつぶって天を仰ぎ、「その答えは神のみが知る」と合掌した。

 動く歩道は両方とも故障しており、片方だけでも修理しようと懸命だったが、男性によると「復活させる手順が分からない」のだという。すでに、新しいパーツが空港に届いているのに「なぜか、それも使わせてもらえない」と嘆く。ただ、通路を歩けば通れないわけではない。男性は「笑える話だが、泣くよりはいい。(こういう光景がみられて)得した気分になったでしょ」と、親指を立ててみせた。

 WiFi(ワイファイ)が使えますと書いてあるが、使えない。天井の板の掃除も完全には終わっておらず、一部は天井板がない。空調の修理ができず、仮設クーラーを置いている。

 サンパウロの国内線空港でも、工事の遅れが目立っていた。6月上旬の段階でファンゾーンと書かれたW杯の展示ブースが外見だけはできているが、中身は工事中だった。

 日本代表が現地14日に初戦を戦うレシフェの空港も、地下鉄への連絡通路が外見はできているのに使えない。タクシーの運転手は「本番までには使えると思う。だって、使えなかったら恥ずかしいでしょ」と話した。

 ブラジルには「ジェイチーニョ・ブラジレイロ(ブラジル流)」という言葉がある。悪く言えば、適当なやっつけ仕事。よく言えば決まり事にはこだわらず、要領よくやるという意味だ。空港、競技場、パブリックビューイング会場なども、完全ではないがW杯が開けるくらいには、大体できたようだ。大丈夫か。リオのタクシーの運転手は「多分、大丈夫」と答えた。

 ◆ガレオン国際空港 正式にはアントニオ・カルロス・ジョビン国際空港。旧名ガレオン空港。リオデジャネイロ市中心から約20キロにあるブラジル第2のハブ空港。現在、外国航空会社23社が乗り入れ、年間旅客数約1750万人(2012年)。日本からの直行便はない。市中心部にあるサントス・ドゥモン空港(現在は国内線専用)が手狭になったことから、ブラジル海軍航空基地として使用されていたガレオン基地に隣接して1952年に開港。空港の名称は、「ボサノバの父」と称され20世紀ブラジル音楽を代表する作曲家の名前から取られた。

















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