舞台雑話

新春歌舞伎で感じた「若手の頑張り」と、お手本としてまだまだ舞台に立ってほしい松本白鸚

今年も3日に浅草公会堂で「新春浅草歌舞伎」、4日に歌舞伎座で「初春大歌舞伎」、5日には新橋演舞場で初春大歌舞伎「双仮名手本三升 裏表忠臣蔵」と、3日連続で歌舞伎を見てきました。そこで感じたのは「若手の頑張り」でした。

「新春浅草歌舞伎」初日鏡開きに顔をそろえた、尾上左近、中村玉太郎、中村鷹之資、中村橋之助、中村莟玉、市川染五郎、中村鶴松
「新春浅草歌舞伎」初日鏡開きに顔をそろえた、尾上左近、中村玉太郎、中村鷹之資、中村橋之助、中村莟玉、市川染五郎、中村鶴松

浅草歌舞伎は、昨年までの中心メンバーだった尾上松也(39)中村歌昇(35)坂東巳之助(35)坂東新悟(34)中村米吉(31)中村隼人(31)中村種之助(31)が卒業し、今年は中村橋之助(29)を座頭格に、中村鷹之資(25)中村莟玉(28)中村玉太郎(24)市川染五郎(19)尾上左近(18)中村鶴松(29)と、若返りました。そんな若手たちが義太夫狂言の名作「絵本太功記」尼ケ崎閑居の場で武智光秀、真柴久吉などの大役に、第一部と第二部で配役を替えながら果敢に挑み姿には、初々しさ、頼もしさを感じました。

歌舞伎座の昼の部「対面」では曽我五郎を巳之助、曽我十郎を米吉が演じましたが、2年前の初春大歌舞伎の「対面」では十郎が中村芝翫(59)、十郎が中村扇雀(64)でした。夜の部では、NHKBSでこれまで3シリーズが放送されている中村隼人主演の「大富豪同心」を新作歌舞伎として上演。隼人の主演で、浅草歌舞伎の仲間だった巳之助、新悟、米吉が共演し、松本幸四郎(52)が初めて演出に挑戦しました。

24年12月10日、「双仮名手本三升 裏表忠臣蔵」上演に向け、泉岳寺を墓参した、前列左から藤間勘十郎、大谷廣松、中村種之助、市川團十郎、中村歌昇、中村児太郎、石川耕士さん、後列左から中村歌之助、中村福之助、市川男寅、中村虎之介
24年12月10日、「双仮名手本三升 裏表忠臣蔵」上演に向け、泉岳寺を墓参した、前列左から藤間勘十郎、大谷廣松、中村種之助、市川團十郎、中村歌昇、中村児太郎、石川耕士さん、後列左から中村歌之助、中村福之助、市川男寅、中村虎之介

「双仮名手本三升」では市川團十郎(47)が大星由良之助、早野勘平など4役を早変わりで務める大奮闘。夜の部では市川新之助(11)と市川ぼたん(13)が幻想の勘平、おかるにふんして踊りを披露し、客席から大きな拍手が起こっていました。

歌舞伎漬けの3日間でうれしかったのは、歌舞伎座昼の部の幸四郎主演「陰陽師」で松本白鸚(82)が蘆屋道満役で久々に出演したことです。座ったままの演技でしたが、声に力強さがありました。白鸚が語るだけで、その場の空気が変わります。若手のお手本として、まだまだ舞台に立ってほしいと思います。【林尚之】

松本白鸚(2024年撮影)
松本白鸚(2024年撮影)

華やかな舞台、輝く役者。夢の世界であると同時に、そこには舞台裏とさまざまな人間模様もあります。演劇、演芸について、林尚之記者がさまざまな切り口から伝えます。あなたも、演劇の世界がきっと好きになります。

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