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谷川浩司17世名人「一番大事なのは棋士の個性」新関西将棋会館オープン 後輩へ思いを託す

新関西将棋会館5階の特別対局室で行われたこけら落としの記念対局に臨んだ谷川浩司17世名人(右)羽生善治九段(撮影・松浦隆司)
新関西将棋会館5階の特別対局室で行われたこけら落としの記念対局に臨んだ谷川浩司17世名人(右)羽生善治九段(撮影・松浦隆司)

大阪市から高槻市に移転した「関西将棋会館」が12月3日にグランドオープンします。先日、メディア向けの内覧会がありました。新会館5階に設けられた上位棋士が対局する特別対局室に足を踏み入れると、そこには荘厳さと、深くやわらかな心地よさがありました。

新会館で最も格式の高い特別対局室(18畳)に駒音が響きました。谷川浩司17世名人と羽生善治九段による、こけら落としの記念対局。江戸時代、将棋の家元たちが将軍の面前で対局を披露した江戸城御黒書院を模して作られた旧会館(大阪市福島区)の「御上段の間」を踏襲しています。

特別対局室にある床の間の掛け軸には谷川17世名人の「道法自然」など昭和以降の歴代永世名人4人の書があります。

窓越しには「屋上庭園」が見えます。緑が映えます。江戸城には庭がありました。1981年(昭56)に完成した旧会館は都心部ということもあり庭が造れなかったようですが、今回は4階の対局室からも「内なる庭」と名付けられた庭があります。

棋士が魂を込めて戦い場所には、さまざまな配慮があります。

特別対局室には「対局時、エアコンの風が来るのは不快にもなってしまう。均一な光環境、温度もむらなくできるように両サイドに換気をつけている。静かに戦える空間をつくっています」。設計担当者によると、空調は部屋の天井の両サイドに配置し、エアコン吹き出し口は見えないようにしています。

旧会館では、よく救急車のサイレンの音が聞こえましたが、新会館はJR高槻駅「きた西口(将棋会館口)」から徒歩2分。鉄道の音も気になりますが、設計担当者は「建物全体で音を遮音するような設計になっています。より静かに対局に集中できるように設計しています」と自信の笑みです。

東西将棋会館建設委員会の副委員長で関西統括の谷川17世名人は「この10年は将棋界も大きな変化があった。それでも一番大事なのは棋士の個性であり、2人がつくり出す棋譜だと思う。私自身も現役で、新会館でどれだけ将棋を指せるか分からないが、後輩たちに期待しています」。高槻から新たな駒音が響きます。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)

新関西将棋会館4階の対局室から見える「内なる庭」(撮影・松浦隆司)
新関西将棋会館4階の対局室から見える「内なる庭」(撮影・松浦隆司)
新関西将棋会館5階の特別対局室(撮影・松浦隆司)
新関西将棋会館5階の特別対局室(撮影・松浦隆司)
5階の特別対局室から見える「屋上庭園」(撮影・松浦隆司)
5階の特別対局室から見える「屋上庭園」(撮影・松浦隆司)

 ◆村上久美子(むらかみ・くみこ) 大阪(泉州)生まれ。91年入社。関西の芸能社会を中心に取材。吉本興業、宝塚歌劇、短期間ながら阪神タイガースと、関西発の3大ホットコーナーをはじめ、NMB48まで、取材歴は20年以上。

 ◆松浦隆司(まつうら・たかし) 大阪生まれ。92年入社。関西を中心にスポーツ紙の社会面担当としてエロから政治まで、ダークサイドも含め取材歴は20年以上。和歌山毒物カレー事件、橋下徹前大阪市長は茶髪弁護士時代から取材。

 ◆三宅敏(みやけ・さとし) 大阪市生まれ。1981年に日刊スポーツ入社。主に芸能ニュース、社会ニュースの記者・デスクを務める。11年に早期退職制度で退社。その後は遊んで暮らしていたが、22年から記者として復帰。演芸(お笑い)を中心に取材。好きなものは猫、サッカー、麻雀、ゴルフ。身長171センチ。

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