【高校野球週間リポート8完】駆け抜けて青春 知られざる2024を発掘できたかな

第106回全国高校野球選手権大会、平たく言えば「夏の甲子園」は京都国際の初優勝で幕を閉じました。日刊スポーツの甲子園取材班も解散。暑い暑い暑い熱い夏が終わりました。地方大会から続けた週間リポート、2カ月間お読みいただきありがとうございました。

高校野球

【8月17日(土)】「高校生が美しかった」早実―大社の最終盤

人間はAIじゃない。エネルギーには限界がある。勤続疲労だとは思う。3回戦4試合が行われるこの日、しんどかった。

西日本短大付(福岡)の応援に、日本ハム新庄剛志監督(52)が甲子園に訪れた。何せ、スポーツ新聞の1面に何度も登場するお方である。バルコニー席での一挙手一投足を見つめた。自分が熱中症になっているのも気付かずに。

ぐったりした。とにかく目をつぶりたかった。第4試合、早実(西東京)対大社(島根)の序盤は記者室で伏せて寝ていた。ネット裏の記者席で寝ている記者もたまにいるけれど、そういう姿を観客に見える場所で見せるべきではない。

なんとか振り絞り、ネット裏の記者席へ向かう。熱中症の苦しさなどとうに忘れた。特に最終盤の攻防は素晴らしい試合だった。早実・和泉実監督(62)が「高校生が美しかった」と言った。同感だった。本当に素晴らしい試合を見届け、仕事を終え、阪神電車に乗ったらまたぐったりした。翌日18日は現地休暇をもらうことにした。

【8月19日(月)】マネジャーの姿勢にも強さは表れる

1日中寝ていたら、笑えるくらいに体が回復した。若い頃はメンタルが疲れて「休みたい…」と思っていたけれど、最近はもう肉体が物理的に疲れての「休みたい…」。無情のタイム・ゴーズ・バイ。

第4試合、大社の応援アルプスのまっただ中にはぜひ行ってみたかった。血走った…まではいかずとも、女子マネジャーたちの目と声出しがあまりに本気すぎてすごかった。

甲子園代表校のマネジャーにも、照れなのかやる気の問題なのか、外から見てダラダラ応援しているようにしか見えない人もいた。そういうチームはやっぱり、早々に負けた。

「頑張れ!!」「いいぞいいぞ!!」。アルプス上段にいる野球部員でない男子生徒が、声を振り絞って何度も叫んでいた。周りの視線など気にせずに。大社ナインは見る人の心を間違いなく動かしていた。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。