中学時代は軟式か硬式か? 2024ドラフトを「野球少年の居場所」的に分析してみた

10月23日に行われた2024年のドラフト会議は支配下69人、育成54人が指名されました。彼らが中学時代に握っていたのは硬式、軟式? 学校の野球部、クラブチーム? 硬式野球なら、リトルシニア、ヤングリーグ、ポニーリーグ、ボーイズリーグ、フレッシュリーグの内訳は? 各紙、各メディア、高校からは掲載されていても、意外に触れられていない中学の球暦。「野球少年の居場所」的にデータをまとめてみました。

その他野球

永遠のテーマ「軟式か硬式か」

学童野球から中学野球を目指す選手たちの進路を決める時期になってきた。中学生になったら学童と同じく軟式球でプレーするのか、硬式球にするのか選択するのが最初のステップだろう。

今年のドラフト指名された選手は123人。在学中に軟式から硬式に転じた選手もいるかもしれないが、最終的に所属していたチームから、どちらでプレーしていたかを探ってみた。台湾出身の2人は硬式に含めた。

軟式=42人

硬式=81人

ドラフト1位はどうか? 

軟式=4人

硬式=8人

どちらもほぼ1対2の割合で硬式が多かった。

もっとも、5球団が競合した宗山塁内野手(明大)は地元の軟式のクラブチーム、4球団が競合した金丸夢斗投手(関大)は公立中学の軟式野球部だった。

ドジャース大谷翔平の中学時代は硬式でプレーした。メジャー殿堂入りが近いとされるイチロー氏は軟式で腕を磨き、高校野球を始めたと同時に「硬球を打つのは軟球より簡単だと感じた」との感想を残している。

一般的には高校時代に投手を目指すなら軟式で十分、野手をやるなら硬式が有利などとも言われる。

軟式か硬式か? 球児にとって永遠のテーマだが、数字が示すほどはっきりした答えがないのも事実だ。

チーム数の多いシニアとボーイズが…

中学硬式野球は主に5つの団体が活動している。50年以上の歴史があり全国にチームが多いのがリトルシニア(558チーム)とボーイズリーグ(607チーム)が多く、団体別指名人数にも反映した形だ。(ポニーリーグ235チーム、ヤングリーグ182チーム、フレッシュリーグ35チーム)

リトルシニア=35人

ボーイズリーグ=34人

ヤングリーグ=4人

ポニーリーグ=3人

フレッシュリーグ=3人

阪神2位の今朝丸裕喜投手(報徳学園)が所属した関メディベースボール学院は、今朝丸投手が所属当時はヤングリーグだったので、今回はヤングリーグ所属とした。

軟式野球は中学の野球部が圧倒的だ。

中学軟式野球部=36人

軟式クラブチーム=6人

ほかに台湾の中学出身選手が2人。台湾の中学硬式野球はレベルが高く、ポニーリーグのワールドシリーズで何度も世界制覇を達成している。

以下、各チームの指名選手の中学時代の所属チームを紹介する。

【パ・リーグ】

西武

ドラフト会議翌日に対面した西武西口監督とLポーズをするドラフト1位の金沢・斎藤

ドラフト会議翌日に対面した西武西口監督とLポーズをするドラフト1位の金沢・斎藤

1位 斎藤 大翔内野手(金沢)金沢シニア

2位 渡部 聖弥外野手(大商大)府中野球クラブ(軟式)

3位 狩生 聖真投手(佐伯鶴城)佐伯市立昭和中(軟式)

4位 林 冠臣外野手(日本経大)台湾・桃園市光明國中(硬式)

5位 篠原 響投手(福井工大福井)愛知尾州ボーイズ

6位 龍山 暖捕手(エナジック)読谷ボーイズ

7位 古賀 輝希内野手(千曲川硬式野球クラブ)佐賀市立思斉中(軟式)

育成1位 富士 大和投手(大宮東)さいたま市立三橋中(軟式)

育成2位 佐藤 太陽内野手(神奈川大)浜松南シニア

育成3位 ラタナヤケ・ラマル・ギービン外野手(大阪桐蔭)愛知港ボーイズ

育成4位 佐藤 爽投手(星槎道都大)札幌豊平ボーイズ

育成5位 沢田 遥斗外野手(京都国際)北広島シニア

育成6位 福尾 遥真内野手(学法石川)京葉ボーイズ

育成7位 ウメビンユオオケム晃外野手(旭川志峯)旭川市立東光中(軟式)

オリックス

オリックスから1位で指名された富士大・麦谷(中央)はホッとした表情を浮かべた

オリックスから1位で指名された富士大・麦谷(中央)はホッとした表情を浮かべた

1位 麦谷 佑介外野手(富士大)東北楽天シニア

2位 寺西 成騎投手(日体大)能美市立根上中(軟式)

3位 山口 廉王投手(仙台育英)宮城北部シニア

4位 山中 稜真捕手(三菱重工East)横浜泉中央ボーイズ

5位 東山 玲士投手(ENEOS)坂出市立坂出中(軟式)

6位 片山 楽生投手(NTT東日本)北海道音更町立共栄中(軟式)

育成1位  今坂 幸暉内野手(大院大高)苅田ボーイズ

育成2位 清水 武蔵内野手(BC栃木)桜島ボーイズ

育成3位 上原 堆我投手(花咲徳栄)静岡裾野シニア

育成4位 寺本 聖一外野手(広島経大)広島南シニア

育成5位  田島 光祐捕手(BC信濃)岐阜県各務原中央中(軟式)

育成6位  乾 健斗投手(霞ケ浦)水戸シニア

楽天

楽天ドラフト1位の宗山(右)と日本ハムドラフト3位の浅利の明大コンビ

楽天ドラフト1位の宗山(右)と日本ハムドラフト3位の浅利の明大コンビ

1位 宗山 塁内野手(明大)高陽スカイバンズ(軟式)

2位 徳山 一翔投手(環太平洋大)徳島県海陽中立海陽中(軟式)

3位 中込 陽翔投手(四国IL徳島)北斗ボーイズ

4位 江原 雅裕投手(日鉄ステンレス)佐賀フィールドナイン(フレッシュリーグ)

5位 吉納 翼外野手(早大)名古屋富士ボーイズ

6位 陽 柏翔内野手(BC茨城) 台湾・台北市桃源中(硬式)

育成1位 岸本 佑也内野手(奈良大付)橿原磯城シニア

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編集委員

久我悟Satoru Kuga

Okayama

1967年生まれ、岡山県出身。1990年入社。
整理部を経て93年秋から芸能記者、98年秋から野球記者に。西武、メジャーリーグ、高校野球などを取材して、2005年に球団1年目の楽天の97敗を見届けたのを最後に芸能デスクに。
静岡支局長、文化社会部長を務め、最近は中学硬式野球の特集ページを編集している。