リトルシニア秋の陣は「純」な世田谷西がV 守りの瀬谷が準優勝
リトルシニアの「2024ミズノ旗杯関東連盟秋季大会」は世田谷西シニア(東東京支部)の2年連続2度目の優勝で幕を閉じた。昨年と同様、夏に3つの全国大会(リトルシニア日本選手権、ジャイアンツカップ、エイジェック杯グランドチャンピオンシリーズ)を戦いながら、新チームを育成。支部大会を経て、関東大会で一戦ごとに強さを増していった。
準優勝の瀬谷シニア(南関東支部)は夏の選手権で全国ベスト4 の勢いを引き継いだように、勝ち上がっていった。飛び抜けた選手がいなくても、しぶとく、ていねいに守り抜く姿が印象的だった。
接戦を次々ものにした佐倉シニア(東関東支部)は3位に、4位の取手シニア(同)は大器を感じさせる選手が多かった。
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世田谷西・鐘ケ江がMVP
【決勝】(横浜・サーティーフォー保土ケ谷球場)
瀬 谷 000 000=0
世田谷西 012 301x=7
(6回コールド)
決勝戦は世田谷西が6-0で瀬谷をリードした6回裏1死一、二塁から4番浅田宋次郎(2年)が右前にタイムリーを放ち、コールド勝ちを決めた。
勝利を決定的にしたのは4回裏2死一、三塁、3番鐘ケ江勇人(2年)がレフトスタンドに放り込んだ3ランだった。両翼95メートルにそびえた高いフェンスも悠々と越える高い放物線が美しかった。第1打席は瀬谷の左翼手・草信遼(2年)がレフトフェンスに体をぶつけながら好捕した。
打ち直しの1発は「内角のスライダーでした」と好投手・小林隼英(2年)の得意球をすくい上げた。
長打力を発揮したが、前日の練習は不振だった。いくら力を込めても外野の頭を越えていかない。見かねた吉田昌弘監督からアドバイスを受けた。「しっかり後ろを大きく振りなさいって。バットが出てこなかったのが、出るようになりました」。バックスイングを十分にとって、バットヘッドを加速する。蓬莱昭彦総監督の名前を冠した「ホーライ打法」はセタニシの魂だ。
その神髄を思い出し、一夜にして結果に結びつけた。
捕手としてもビッグプレーを見せた。1点先制後の3回表1死一塁。瀬谷の初安打で出塁した1番武川穂高(2年)の二盗を刺した。成功すれば、ペースを奪われかねない場面の〝強肩発動〟。先発・福田遊大(2年)も波に乗り、以後の走者は失策の1人しか許さず6回を完封した。
攻守にわたる活躍で今大会の最優秀選手賞に選ばれた鐘ケ江は「一戦ごとにレベルが上がっていった思います」と何よりチームの成長を喜んだ。
サード元木主将が躍動
決勝戦が終わり、「守るところを守れて、攻めるところを攻められました。だんだん野球ができるようになってきました」とチームの成長を表現したのは元木瑛介主将(2年)だ。
元巨人ヘッドコーチで、現役時代はスラッガーでありながら「くせ者」と評された元木大介氏の次男で、目元、口元がよく似ている。色白なのは、元日本テレビアナウンサーで母親の大神いずみさん譲りなのだろう。スローイングの瞬間を望遠レンズでのぞくと、今度はお母さん似に見えた気がした。
準決勝の佐倉戦は3打数2安打、決勝も4打数2安打とすべて短打だが、1番打者としてチャンスメイクした。高い内野フライを打ち上げると、一瞬見上げてから、全力疾走で一塁に向かった。詳しくは書かないが、お父さんの上宮高時代の有名な一コマを思い出し、撮影しながらくすくす笑ってしまった。
全力疾走は「50メートル走6秒7だったかと…」という自己申告より速く感じた。
三塁の守備はグラブさばきがよくて、三塁線の深い当たりも正確なスローイングで刺した。三遊間のゴロに目いっぱい腕を伸ばし、その勢いので素早く送球したのはかっこよかった。
いいことばかりだが、吉田監督は「最近になって急に伸びたんです。(小学生時代の)ジャイアンツジュニアでは補欠選手でしたから」と明かした。セタニシ入部後の、1年半の努力がしのばれる。
ただし、吉田監督は「主将には自分がなりたいからなったのでは」と説明したが、元木自身は「みんなで話し合って選ばれました」と胸を張る。大会中、先攻が続いたのはじゃんけんで負け続けたから。決勝は勝ったから後攻だったのかを確認しなかったのは取材不足だが、元木主将にはじゃんけんの勝負強さより、大きな変化があったようだ。
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1967年生まれ、岡山県出身。1990年入社。
整理部を経て93年秋から芸能記者、98年秋から野球記者に。西武、メジャーリーグ、高校野球などを取材して、2005年に球団1年目の楽天の97敗を見届けたのを最後に芸能デスクに。
静岡支局長、文化社会部長を務め、最近は中学硬式野球の特集ページを編集している。
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