大島光翔、キャッチー路線の先にあった重圧と覚悟

「マリオ」がおしえてくれもの―。7日に閉幕した日本学生氷上競技選手権(インカレ、ALSOKぐんまアイスアリーナ)で4位となった大島光翔(20=明大)が1つの覚悟を語りました。今季のショートプログラム(SP)は映画「スーパーマリオ」を題材に、衣装も含めてこれまで以上にキャッチー路線を追求しましたが、昨年末の全日本選手権(長野・ビッグハット)で感じたのは想像を超えた重圧。その経験を経たからこそ、いま結果も求めます。

フィギュア

マリオアレルギー

全日本選手権での男子SPの演技(2023年12月21日撮影)

全日本選手権での男子SPの演技(2023年12月21日撮影)

「本当にもう曲も聞きたくなくて。1回も(今大会の)公式練習までかけずに…。もう本当に、なんて言うんですか、アレルギーじゃないですけど。しんどくなっちゃって」

インカレの男子上位8選手が並んだ表彰式が終わった後の告白だった。

優勝した鍵山優真に「この子はこれから伸びていくよ~」と優しいちゃちゃを入れながら、場の空気を和ましていた大島(自分の演技が終わると「優真の演技が見たい」と取材エリアからリンクに引き返して、応援していた)。リンクを降りても底抜けの明るさで、サービス精神旺盛の男には、年末年始ずっと付きまとっていた悩みがあった。

SPに選んだ「The Super Mario Bros. Movie」だった。

インカレでのSPの演技

インカレでのSPの演技

ゲームの不朽の名作「スーパーマリオ」の映画版の楽曲を使った作品は、後半は誰もが聞いてあるだろうゲームの音楽に変わり、肝いりの衣装は演技中に緑、赤のキノコ、スターが飛び出してくる仕掛けも。

「スケートを見た事がない人が見て、面白いと思って貰えるような、わかりやすい演技っていうのが僕はいいかな」

昨季の演技後の一コマ

昨季の演技後の一コマ

昨季のフリーの映画「トップガン」に続いて、その信念の元に昨年5月から温めたプログラム。それが「しんどさ」を生んでいた。

突然襲ってきた不安

昨年12月21日の全日本選手権のSPだった。抽選の結果、最終グループの6人の1番手になった。とたん、ある不安が襲ってきた。

全日本選手権での男子SPの演技(2023年12月21日撮影)

全日本選手権での男子SPの演技(2023年12月21日撮影)

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スポーツ

阿部健吾Kengo Abe

2008年入社後にスポーツ部(野球以外を担当します)に配属されて15年目。異動ゼロは社内でも珍種です。
どっこい、多様な競技を取材してきた強みを生かし、選手のすごみを横断的に、“特種”な記事を書きたいと奮闘してます。
ツイッターは@KengoAbe_nikkan。二児の父です。