世界3連覇のパトリック・チャンさん語る 男子シングルの未来予想から33歳の近況まで

3月に閉幕した世界選手権、その大会でアンバサダーを務めていたのが2014年ソチ五輪銀メダルのパトリック・チャンさんでした。世界選手権3連覇を飾ったカナダの英雄は、2018年に選手生活に終止符を打ち、33歳のいまはフルタイムの仕事とプロスケーターなどの仕事を精力的に続けています。男子フリーを控えた日、インタビューに応じ、王者で居続ける鍵、男子シングルの未来予想、近況などを語ってくれました。

フィギュア

大会アンバサダーを務めたチャンさん

大会アンバサダーを務めたチャンさん

イエスでもノーでもある

――大会のアンバサダーを務めていることについてどのような感想をお持ちですか

まず第一に、このような依頼を受けることはとても光栄なことです。

僕はカナダで何度も戦ってきたし、ジュニア世界選手権、世界選手権にも何度か出場したことがあります。それらの経験は競技者としてとても特別なものでした。

ですので、観客として、そしてアンバサダーとして来場することは、本当に特別でユニークなことですし、競技者時代の経験というものを少しでもファンの方をシェアしあえたらうれしいですね。選手時代というのは自分のことにフォーカスしていたので、ファンの方とつながったり、交流できる機会はなかったですから。ここモントリオールだからこそ、スケートへの情熱を分かち合うこともできると思います。カナダの他の地域と比べてとてもユニークですね。ジョアニー・ロシェットやデヴィッド・パルティエ、シンシア・ファネフのような成功したスケーターがいます。その情熱を共有し、分かち合い、それを語る役割を果たせることは、他ではできないことですね。

世界選手権を制したパトリック・チャン(2013年3月15日撮影)

世界選手権を制したパトリック・チャン(2013年3月15日撮影)

――氷上で競い合っている選手を見ると、競技会が恋しくなりませんか

イエスでもノーのでもありますね。恋しくなる部分もあります。現役というのは身体的にも完璧にピークを迎えている状態でいつもいることですし、そこまでいくための努力をして、完璧な体力になっている状態ですよね。持てうる力を大舞台でみせる。懐かしさはありますね。引退してから6年ほど経ちますが、そういうゾクゾクした気持ちというのは、日常生活では全く味わってないですね。

演じるという側面では観衆の関心を4分30秒も一手に受けて滑れる、それは恋しいです。でも、そこに到達するまでの道は本当に長く厳しいですから。リンクにいって、気持ちが乗らない事や、非常に疲労感を覚える事があっても、何とか前進する。その大変さを知っているので。何年も高いレベルを維持する事は本当に大変なことです。

世界選手権のエキシビションで演技を行うチャンさん

世界選手権のエキシビションで演技を行うチャンさん

――長くトップに居続けるために必要なことはどんな事ですか

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スポーツ

阿部健吾Kengo Abe

2008年入社後にスポーツ部(野球以外を担当します)に配属されて15年目。異動ゼロは社内でも珍種です。
どっこい、多様な競技を取材してきた強みを生かし、選手のすごみを横断的に、“特種”な記事を書きたいと奮闘してます。
ツイッターは@KengoAbe_nikkan。二児の父です。