ギリシャのメディアに言われたことがある。無念のドローに終わったギリシャ戦の公式会見後のこと。見ず知らずの毛深い男に「日本はよくやった。オレたち（ギリシャ）は弱いけど、欧州の予選を突破したチームなんだからな」と笑顔で声をかけられた。

　オレたちは弱い、少なくとも格下であるという基本的認識がギリシャのメディアだけではなく、チームにもある。その中でどう戦うかを考えている。一方、日本は「オレたちはやれる」と前向きに考えていたものの、理想と現実の間でもがき苦しみ窮地に陥っている。

　欧州予選を突破して出場している－。この経験値は相当大きい。日本は予選を突破したとはいえ、アジアでは実力的に抜きんでている。欧州という世界屈指の予選で、親善試合とは異なるギリギリの状況を体感している経験値が、Ｗ杯の舞台では必ず生きる。

　日本代表の「現在地」「現状」は大会前から明確に理解はしていたが、その上で期待をしていた。もしかすると、理想と現実の間で揺れていたのかもしれない。ただ、何を言われようが、まだ期待している。コロンビア戦で奇跡が起きないかと…。【菅家大輔】