サンパウロ空港へと向かう長距離バスの中で、この原稿を書いている。コロンビア戦から一夜明け、合宿地で取材に応じた選手の表情はさまざまだった。涙を流す者、既に４年後へ視線を向ける者、代表から身を引こうと自問自答している者。ここまで真剣にサッカーと向き合ってきたからこそ、彼らの思いは深い。

　日刊取材班もまた、Ｗ杯にかける気持ちは強かった。“主将”の菅家キャップと“副将”の八反記者は今大会を集大成と位置づけた。最年少栗田記者は「ショックで次のことは考えられません」とウルウル…。そんな彼らを優しく見守った最年長盧記者は、ただ笑っていた。そして私はというと、３大会連続となる１８年ロシア大会を狙っている。

　選手が流した汗や涙は、現場にいる者にしか分からないのだから。しっかりと、伝えることができたか？　私も自問自答している。

　最後に－。プロ１年目から取材してきた香川選手。結果は出なかったけれど信念を貫き通した本田選手。そしてお父さんの遺言を守って代表に返り咲いた大久保選手。彼らがいたから、私も情熱を燃やして取材をすることができた。この場を借りて伝えたい。心からありがとう。【益子浩一】（おわり）