◆評論家
藤田俊哉ノート
◆藤田俊哉(ふじた・としや)MFとしては史上初の100得点を達成。幅広い経験をもとに独自の 視点を生かした評論を「藤田俊哉ノート」と題し、これからの日本サッカーのあるべき姿や、代表戦での勝負を分けたプレーの分析を読者に届けます。 欧州での指導者業挑戦のため中断した「藤田俊哉ノート」がブラジルW杯で復活。
長谷部90分間戦えるかがカギ
ボランチの一角・長谷部が90分間戦えるかが、カギとなる。初戦はもう少しいけたと思うが、負傷上がりの長谷部を後半9分に交代させた。おそらく、ザッケローニ監督は試合前から、あの時間帯で代えると決めていたのだろう。
負けたチーム同士の第2戦は、総力戦となる。しかし確実にボランチで1枚、交代カードを切らないといけないとなると、攻撃の選択肢が狭まる。基本、ボランチは2人とも90分戦える選手を起用すべきで、長谷部は十分できるはず。時間帯や展開によって、あらゆる手段を使ってでも点を取りにいかないといけないのに、実際に使える攻撃のカードが2枚だけでは、戦う前からハンディがあるようなものだ。
ギリシャは堅守には定評があるが、ポゼッションもできるチームだ。これまで、強い相手との対戦機会が多く、守備に回る時間帯が長いため、堅守速攻と思われがちだが、パス回しが下手なチームではない。加えてフィジカルも強く、高さもあり、やっかいな相手だ。サイド攻撃もできるし、万能型といえる。
初戦の反省から、日本はサイドの穴を埋める必要はある。香川や岡崎がサイドにつきっきりになると、日本特有の細かいパス回しが鈍ってくるため、それも得策ではない。解消するには、全体的にコンパクトさを保つ必要があって、やはり長谷部の存在が大きい。中央でDF陣とトップのラインを調律することで、サイドの穴はある程度ケアできる。主将が終了のホイッスルをピッチ上で聞くなら、日本の勝利が現実となる。(元日本代表MF)