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OGGIの「毎日がW杯」

OGGIの「毎日がW杯」

荻島弘一(おぎしま・ひろかず):1960年(昭35)東京都出身。84年に入社し、スポーツ部勤務。五輪、サッカーなどを担当して96年からデスク。出版社編集長を経て05年から編集委員として現場取材に戻る。

数的優位で逆に勝ち目が薄くなった日本


 失望感の大きいドローだった。日本が10人のギリシャから奪えたのは、勝ち点1だけ。1次リーグ突破の可能性が残っているというよりも、その可能性を広げるチャンスを逃したと言った方が正解だろう。現地で応援したサポーターはもちろん、出社や登校前にテレビで声援を送った多くの日本人も、悔しい思いで1日を過ごしたはずだ。

 前半は、両チームとも勝利を目指した激しい戦いだった。初戦に敗れている日本とギリシャだから、1次リーグ突破には勝ち点3がほしい。しかし、同38分にギリシャのMFカツラニス主将が退場。これで、試合の流れは変わった。

 10人になった直後こそ攻めに出てきたギリシャも、後半に入ると明らかな引き分け狙い。全員が自陣に引いて、ゴール前にブロックを作った。日本は、勝つことを放棄したギリシャからゴールを奪うだけだった。

 しかし、もともと守備には定評のあるギリシャ。堅固な守備ブロックをこじ開けるのは、簡単ではない。日本は後半から遠藤を投入し、さらにベンチスタートだった香川も送り出した。それでもシュートはブロックされ、クロスは次々とはね返された。

 最大のチャンスは後半23分、香川から右サイドのDF裏に飛び出した内田にパスが通る。ダイレクトで折り返したボールにフリーで走り込んだ大久保が左足を合わせたが、大きくゴール左に。日本中がため息に包まれた瞬間だった。結局、その後もギリシャの堅守を破れずに試合は終わった。

 勝ち点3が必要なギリシャが積極的に前に出てくれば、岡崎や大久保でDFの裏を突くのは決して難しくないと思っていた。ところが、10人になった相手が勝利を放棄した時点で、日本の勝ち目は薄くなった。数的優位は、試合展開の優位につながらなかった。

 もっとも、10人の相手に勝てなかったのは事実。相手は1人少ないのだから、勝つための手があったのではと思う。途中で切った遠藤と香川の2枚のカードは機能していた。なぜ、3枚目のカードを切らなかったのか。「やりきった」感がなかったのは、そのためかもしれない。

 ザッケローニ監督は試合後の会見で「青山起用は考えた」と話していた。1本のパスで相手DFのスキを突ける青山は、堅固なギリシャの壁を破るのに有効だったのではないか。交代選手が活躍する大会だけに、交代枠を使い切らない采配は残念だった。

 この日、コロンビアがコートジボワールに勝ち、勝ち点6で1次リーグ突破を決めた。日本は25日(現地時間24日)に、そのコロンビアと対戦。勝って勝ち点を4にすれば、同時間に行われるコートジボワール(勝ち点3)-ギリシャ(同1)の結果次第で1次突破の可能性はある。

 日本が突破する可能性を整理しよう。日本がコロンビアに勝つことを前提に、(1)コートジボワール勝利(2)引き分け(3)ギリシャ勝利、とする。(1)は勝ち点を6にしたコートジボワールとコロンビアが進出(日本は敗退)。(2)はコートジボワールと勝ち点4で並ぶ。日本が1点差勝利なら得失点差も0で並ぶが、2点差以上の勝利なら日本が上回って1次突破。(3)はギリシャと勝ち点4で並ぶが、現時点で得失点差マイナス1の日本が同マイナス3のギリシャを上回って決勝トーナメントに進める可能性が高い、となる。

 最終戦、他力になるのは間違いないが、それでも全力で勝ってほしい。1勝もできないのと、最後に勝つのでは4年後に向けても大きく違う。日本らしいサッカーを、最後に見せてくれれば、この失望感も少しはおさまると思う。

















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