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OGGIの「毎日がW杯」

OGGIの「毎日がW杯」

荻島弘一(おぎしま・ひろかず):1960年(昭35)東京都出身。84年に入社し、スポーツ部勤務。五輪、サッカーなどを担当して96年からデスク。出版社編集長を経て05年から編集委員として現場取材に戻る。

世界一へ「20歳は若い」の意識を捨てろ


 準々決勝最大の見どころは、地元の王者ブラジルと評価急上昇のコロンビアの対戦。ネイマールとロドリゲス、10番を背負う両エースの激突に、世界中が注目する。

 下馬評通り、強い重圧の中でチームを引っ張るネイマールは「戦争になる」と話した。大会前「イケメン特集」などの出番しかなかったが、今や大会の「顔」にまで躍進したロドリゲスは「美しい試合になる」と言った。2人の言葉に、両エースの置かれる状況が分かる。

 ネイマールの涙は、今や大会の「名物」。試合前、試合後、立ったまま、ピッチにひれ伏して、泣く、泣く、泣く…。それほど、この大会にかけている。

 一方のロドリゲスは笑顔だ。ゴール後、勝利後、満面の笑みをスタンドに向かって振りまく。プレッシャーとも無縁に「楽しい」という。ブラジル国民2億人を敵に回すことさえいとわず、淡々としている。

 驚くのは、ともに22歳ということ。日本代表の最年少はDF酒井高徳の23歳だったから、それよりも若いわけだ。日本でなら「まだ若い」と言われるような年齢で、チームを背負い、国民の期待を浴びている。

 今大会は、20歳前後の選手の活躍が目立つ。決勝トーナメント1回戦終了時の得点ランクでも、1位ロドリゲスが22歳、2位には22歳ネイマールと24歳ミュラー、27歳のメッシが「ベテラン」に見えてくる。

 前回大会は10代の得点者はいなかったが、今回はベルギーFWオリジ、米国MFグリーンと19歳になったばかりの2人が記録。フランス代表の21歳MFボグバ、ドイツ代表の22歳FWゲッツェはチームの中心として活躍。オランダの20歳FWデパイは「切り札」として8強進出に貢献した。

 サッカー選手のピークは20代後半(個人差やポジションによっても異なるが)と言われる。少し乱暴に言えば「体力のピークが20代前半にきて、その後は技術や経験で体力の衰えをカバーしながら選手としてのピークを迎える」となる。

 気候や長距離移動の影響で体力勝負が多くなった今大会だからこそ、経験不足でも「動ける」若手が活躍しているのかもしれない。振り返れば、日本は動けない選手、体が重い選手が多かった。南野拓実に原口元気、宮市亮らフレッシュな選手なら、もう少し暴れられたかも…。20歳前後の選手の活躍を見ていると、思わず考えてしまう。

 今大会で経験という大きな財産を手にした彼らは、次のロシア大会で20代半ばとなり、さらに成長を遂げているはず。日本の20代半ばの選手は、初めてのW杯で彼らと戦わなければならない。その差は、我々が思う以上に大きい。

 ザッケローニ監督は選手選考について「同じ力なら若い選手を選んだ」と話した。つまり、20歳前後の選手には、日本代表の力がなかったということだ。

 この世代の育成は、日本サッカー界にとっても大きな課題。日本協会も、以前からプロジェクトを組んで試合経験を積ませるなどしてきた。しかし、その成果はまだまだだ。高校年代の選手たちが「次のW杯を狙う」という高い意識を持たないと、いつまでたっても20代前半が中途半端な世代になってしまう。

 「リオデジャネイロ五輪経由ロシアW杯」などと悠長なことは言っていられない。この9月にスタートする日本代表に、どれだけ若手が入ってくるか。日本サッカー界全体が「20歳は若い」という意識から抜け出すことが、世界一を狙うには必要だろう。

















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