日刊スポーツのニュースサイト、ニッカンスポーツ・コムです。


ここからこのサイトのナビゲーションです




紙面企画

W杯のツボ

W杯のツボ

試合のプレー、珍プレーなどの出来事を掘り下げて検証する企画。南アフリカW杯の「スーパープレー、お宝発掘」をリニューアルし、スーパープ レーや勝負のあやに迫ります。

GLT初採用 ノーゴール判定がゴールに


<W杯:フランス3-0ホンジュラス>◇1次リーグE組◇15日◇ポルトアレグレ

 フランス-ホンジュラスで、今大会から導入された最新技術「ゴールライン・テクノロジー(GLT)」が初めて有用性を示した。後半3分、フランスの2点目がゴールラインを割ったと判定。これまで物議を醸してきたゴール論争の歴史にピリオドが打たれた。試合はFWカリム・ベンゼマ(26=Rマドリード)の全ゴールに絡む活躍で、フランスが快勝した。

 判定の歴史が塗り替えられた。後半3分、ベンゼマが、右サイドから出たクロスを左足でボレー。ボールは右ポストに跳ね返り、ゴール左端に立っていたGKバジャダレスの左手に当たり、インゴールへこぼれる。GKは前方に倒れ込みながらすぐに同じ左手でボールを引き戻した。

 肉眼だとゴールラインにボールがかかっているようにも見える。判断が難しい場面だけに、GLTが力を発揮した。一方のサイドのゴールに7台、会場に合計14台の高速撮影カメラが設置され、ボールがラインを越えたのを確認すると1秒以内に審判が右腕に巻いた腕時計が振動し「GOAL」と表示される。主審は1度は「ノーゴール」としたが腕に振動を感じ、すぐさまゴールを認めた。フランスには貴重な2点目となった。

 異議を唱えたホンジュラスのスアレス監督が、フランスのデシャン監督と言い争う。だがGLTが「得点」と判断する映像が電光掲示板に映し出された。デシャン監督が「映像を見せることで誰もが分かる」と言えば、スアレス監督も「最初はノーゴールの判定だったが、GLTが主審にメッセージを送ったのだろう」と素直に受け入れた。

 「人間の目には限界がある」と、W杯で初めて導入されたGLT。長年、ビデオ判定など科学技術の導入に反対してきた国際サッカー連盟(FIFA)の立場が変わった最大のきっかけは、10年南アフリカ大会で起きた「誤審」だ。決勝トーナメント1回戦のドイツ-イングランド。1-2の前半38分、イングランドMFランパードのシュートがクロスバーをたたいてゴール内側で跳ねた。映像では明らかに「得点」だったが、ノーゴールと判定。イングランドは追いつけないまま、1-4で敗れた。

 開幕前、FIFAの担当部門責任者ホルツミュラー氏は「100%正確に機能すると信じている。ボールがラインを越えたか否かを正しく判定できるのはGLTしかない」と強調した。その恩恵を受けたベンゼマは「サッカーではシュートがラインを越えたかが分からない場面がしばしばある。GLTがあって良かった」。機械に頼らず生身の人間が裁くことが「魅力」という声もある。だが真実を伝える「目」は、ピッチで戦う者には好意的だった。

 ◆4種類のGLT 認可されているGLTは4つある。クラブW杯では、ボールにマイクロチップを埋め込んだ「ゴールレフ」など2つの技術が用いられたが、使用機会はなかった。今回採用されたシステムは、4番目に認可されたドイツ社製「ゴールコントロール4D」。1会場の設置費用は推定26万ドル(約2600万円)とされる。

















ここからフッターナビゲーションです


PAGE TOP