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紙面企画

W杯のツボ

W杯のツボ

試合のプレー、珍プレーなどの出来事を掘り下げて検証する企画。南アフリカW杯の「スーパープレー、お宝発掘」をリニューアルし、スーパープ レーや勝負のあやに迫ります。

これがドイツ、伝統の「1-0」で4強


<W杯:ドイツ1-0フランス>◇準々決勝◇4日◇リオデジャネイロ

 ドイツが、準決勝進出一番乗りを果たした。優勝経験国同士の対戦となったフランス戦に、危なげなく1-0で勝利。前半13分にDFマッツ・フンメルス(25=ドルトムント)が挙げたゴールを手堅く守って逃げ切った。史上初の4大会連続で13回目の4強入りを果たしたドイツ。なぜ「1-0」で抜群の強さを発揮するのか。答えはドイツの選手たちに脈々と受け継がれる「勝者のメンタリティー」にあった。

 前半13分のFK、この日初めてのセットプレーからフンメルスがゴールした瞬間、レーウ監督と選手たちは勝利を確信したはずだ。スタンドのドイツサポーターも、世界中のテレビ観戦者も「やっぱりドイツ」と思ったはず。「1-0」勝利はお家芸、W杯で実に16回も記録している。

 1次リーグ3試合を蒸し暑い北東部の会場で戦い、決勝トーナメント1回戦のアルジェリア戦は120分の激闘。さらに、チーム内にインフルエンザの症状を訴える選手が出るなど、体調面に不安があった。それでも、選手層の厚さと複数ポジションがこなせる高い能力で「1-0」の必勝パターンに持ち込んだ。

 先制してからは、DF陣が無理に攻めず、守備を重視した。シュート数はフランスの13本に対して8本。決定的なチャンスも少なかったし、攻め込まれる場面も多かった。それでも、GKノイアーを軸に完封し、勝利に結びつけた。

 決して守り一辺倒にはならなかった。レーウ監督はシュルレ、ゲッツェ、クラマーとFWを次々投入。フレッシュな選手が前線で動き、相手を守備で走らせた。守りを固めたり時間稼ぎをしても、勝利にはつながらない。ドイツは、それを知っている。「どうすれば勝てるか」「勝利には何が必要か」が浸透している。それこそが「勝者のメンタリティー」なのだ。

 この日、ロッカールームには54年、74年、90年大会の優勝ユニホームが飾られた。敗戦国の国民に「サッカーなら世界一」という自信を植え付けた54年、クライフのオランダを下した74年、マラドーナのアルゼンチンを葬った90年。脈々と受け継がれる「勝者のメンタリティー」を胸に、選手はフランスと戦った。

 「強い者が勝つのではない。勝った者が強いのだ」と言ったのはドイツのレジェンド、ベッケンバウアーだ。「創造性がない」「つまらない」「退屈」…。何を言われても、ドイツは勝利にこだわる。レーウ監督のもとでポゼッションを高め、攻撃力を磨いてきたドイツが、ここ一番で見せた「つまらない1-0」。しかし、これこそが「最後に勝つ」ドイツの強さだ。

















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