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紙面企画

W杯のツボ

W杯のツボ

試合のプレー、珍プレーなどの出来事を掘り下げて検証する企画。南アフリカW杯の「スーパープレー、お宝発掘」をリニューアルし、スーパープ レーや勝負のあやに迫ります。

オランダの誤算 PK前に枠使い切った


<W杯:オランダ0(2PK4)0アルゼンチン>◇準決勝◇9日◇サンパウロ

 ファンハールマジックは不発に終わった。オランダは延長前半6分、FWファンペルシーに代えてフンテラールを起用。3枚の交代枠を使い切った。準々決勝コスタリカ戦で成功した「PK戦用」のGKクルル起用を断念して、120分間での決着を目指した。ルイス・ファンハール監督(62)の勝負どころだった。

 腹痛で前日別メニュー調整をしたファンペルシーは不調で「疲弊しているように見えた」と同監督。しかし、フンテラールも相手の厳しいチェックにあって前線で仕事ができず。決勝点を奪うことができずに、試合はPK戦に突入した。

 GKシレッセンは「PKを止めたことがない」のが分かるプレーだった。高校選手権でも少しは工夫するだろうが、相手との駆け引きもなく、ただキックを待つだけ。コースは合っても止められず。3本目と4本目は、代表レベルのGKなら止めてもおかしくなかった。

 「枠があればクルルを使いたかった」と指揮官は振り返った。試合中は好セーブを連発するシレッセンがPK戦で弱いのは分かっていたはずだ。それでも枠を使い切ったのは、PK戦をさけたかったから。DFマルティンスインディが警告を受けるほど不調で、ハーフタイムに代えざるを得なかったことも誤算だった。

 仮にファンペルシーを引っ張り、PK戦でクルルを起用しても、PK戦に自信を持つアルゼンチンに勝てるかどうかは分からない。経験の浅いコスタリカには通じた「奇策」が、試合巧者相手に通じるか。もしクルルで負ければ「策士が策におぼれた」となる。

 ファンハール監督は3枚のカードを使い切る勝負に出て、敗れた。フンテラールが決勝点をあげれば「マジック」だったが、それも不発だった。ただ、低評価のチームをベスト4まで導いたのは、間違いなく監督の手腕。大会を沸かせた62歳は大会後、マンチェスターUの監督に就任する。

















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