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紙面企画

W杯のツボ

W杯のツボ

試合のプレー、珍プレーなどの出来事を掘り下げて検証する企画。南アフリカW杯の「スーパープレー、お宝発掘」をリニューアルし、スーパープ レーや勝負のあやに迫ります。

スアレス2発「母国」で磨かれた得点感覚


<W杯:ウルグアイ2-1イングランド>◇1次リーグD組◇19日◇サンパウロ

 ウルグアイFWルイス・スアレス(27=リバプール)が、今季プレミアリーグ得点王の力を見せつけた。大会前に左膝半月板手術を受け、復帰初戦となったイングランド戦でいきなりの2ゴール。「サッカーの母国」で磨きをかけたゴール前の駆け引きと決定力を発揮し、勝利に導いた。

 前半39分、スアレスは息を潜めてペナルティーエリアへ進入した。DFジャギエルカの背後を抜けて、視界に入らない位置で左からのクロスボールを頭で合わせる。いとも簡単に先制点を奪った。「Fox in the box(ペナルティーエリアのキツネ)」。プレミアリーグでは、駆け引き上手なFWをそう呼ぶ。スアレスの動きはまさに抜け目ないキツネだった。

 そして2匹目のキツネもいた。同点で迎えた後半40分。味方GKからのロングボールを相手DFがクリアできず、背後へ流れる。すかさず裏のスペースを突き、右足で決勝点を奪った。左ひざ半月板の手術から復帰したばかりでの2ゴールに「人生最高の試合のひとつ。信じられない瞬間だった」と喜んだ。

 両軍最多6本のシュートを放ち、相手を脅かし続けた。キツネばりの身のこなしに加え、ゴールへの積極性も持ち味だ。リバプールに加入し、初めてフルシーズンを過ごした11-12年のシュート数は128本だったが、12-13年の187本、今季の181本はいずれもリーグ最多。ゴール数も11点(リーグ14位タイ)、23点(2位)、31点(1位)と増加した。

 スアレスの成長について、元イングランド代表MFのスコールズ氏は米IBTスポーツのインタビューに「昨季までは自己中心的でミスも多かった。でも今季は周囲が見えるようになった。それが成長の要因だろう」と話している。一方で実力は折り紙付きだが問題児。昨年4月には相手選手にかみつき、今季の開幕5試合は出場停止となった。その間、自分を見つめ直す中で、支えてくれる家族への思いも強まった。

 スアレスは2点目の後、右手の親指、人さし指、中指を立てて口づけし、さらに手首にもキスをした。3本の指は妻と2人の子供を表すもので、手首には長女デルフィナちゃんの名前が彫ってある。「あのシュートを打つとき、これまでサポートしてくれた人々のことが思い浮かんだ。そして、決めることができたんだ」。

 「母国」で磨かれた得点感覚に、気づいた感謝の気持ち。タバレス監督は「ハッピーエンドの映画みたい」。初戦を落としたチームは、エースの復活で息を吹き返した。

 ◆ルイス・スアレス 1987年1月24日、ウルグアイ・サルト生まれ。ナシオナル(ウルグアイ)、フローニンゲン、アヤックス(ともにオランダ)を経て11年1月にリバプール移籍。今季はリーグ最多31点でプロフットボール選手協会が選ぶMVP。代表通算78戦41得点。家族は夫人と長女、長男。長女デルフィナ(Delfina)ちゃんの名前は文字を入れ替えると本拠地アンフィールド(Anfield)になるため、リバプール入団は運命だったという声も。181センチ、81キロ。

















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