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紙面企画

W杯のツボ

W杯のツボ

試合のプレー、珍プレーなどの出来事を掘り下げて検証する企画。南アフリカW杯の「スーパープレー、お宝発掘」をリニューアルし、スーパープ レーや勝負のあやに迫ります。

メッシ2戦連発 アルゼンチン突破


<W杯:アルゼンチン1-0イラン>◇1次リーグF組◇21日◇ベロオリゾンテ

 わずか4秒で、エースの仕事をやってのけた。アルゼンチンはイランに劇的勝利を収め、決勝トーナメント進出を決めた。「神の子」ディエゴ・マラドーナ氏の御前試合で、引き分けかと思われた後半ロスタイム、FWリオネル・メッシ(26=バルセロナ)が左足で決勝弾を挙げた。ボールに触る回数は少なく、走行距離も少なかったが、マラドーナ氏が席を立った直後に、後継者の“神”が降臨した。

 マラドーナ氏が席を立った4分後に、試合は劇的に動いた。後半46分、FWメッシは右サイドでFWラベッシからのパスを受け、中央へドリブル。その間わずか4秒。左足を力強く振り抜いた。

 ペナルティーエリア内には、敵味方合わせて10人が立った。その間を縫うようにカーブを描いて、ゴール左へ。仲間に取り囲まれ「みんなが笑顔でハグをして、叫んで、素晴らしい瞬間だった。ゴールを決められてとてもうれしい」と2戦連発弾を喜んだ。サベラ監督も「あのシュートは誰にも止められないだろう。例えGKが2人いても止められないよ」と称賛した。

 前回の南アフリカ大会で代表を率いた「神の子」マラドーナ氏も観戦に訪れていた。しかし、試合終了前にスタジアムを後にしており、メッシのゴールの瞬間には立ち会えず。「神の子」がいなくなった瞬間、後継者に神が降臨したのかもしれない。

 最後にやっと“メッシ・システム”が機能した。初戦ボスニア・ヘルツェゴビナ戦では守備を重視した「5-3-2」システムを採用。しかし攻撃が機能せず、後半から従来の「4-3-3」に戻してメッシの追加点が生まれた。この日は冒頭からエースが「プレーしやすい」と言う4-3-3システムで入った。

 気温23度、湿度51%と走りやすい環境にもかかわらず、前線付近で歩く時間が長かった。ボールを引き出す動きはせず、まるで息を殺して身を潜めるよう。イランDFの激しいマークもあり、パスも受けられない。走行距離はフィールド9人の平均9950メートルに対し、メッシは7772メートル。その差は2100メートル以上だった。引き分ければ戦犯扱いになるところだった。

 それでも点を決めるというエースの仕事をやってのけ、勝負強さを見せつけた。決勝トーナメント進出も決めたが、試合後に笑顔はなかった。守備を固める相手との対戦が続き「我々は、期待されているようなプレーができていないことは知っている」。エースの真価を発揮するのは、これからだ。

 ▼後半ロスタイムの「1-0決勝ゴール」 アルゼンチンFWメッシが、0-0で迎えた後半ロスタイムに決勝点を決めた。終了間際の後半45分以降にゴールを決めて1-0で勝ったケースは、W杯史上8人目。公式記録にロスタイムを表記するとFIFAが発表した98年大会以降では、今回のメッシが4人目。

















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