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紙面企画

W杯のツボ

W杯のツボ

試合のプレー、珍プレーなどの出来事を掘り下げて検証する企画。南アフリカW杯の「スーパープレー、お宝発掘」をリニューアルし、スーパープ レーや勝負のあやに迫ります。

飛び出した!新時代GKドイツ・ノイアー


<W杯:ドイツ2-1アルジェリア>◇決勝トーナメント1回戦◇6月30日◇ポルトアレグレ

 これが新時代のGKだ! ドイツの守護神マヌエル・ノイアー(28=Bミュンヘン)が、ペナルティーエリアにとらわれない驚異的な飛び出しで、アルジェリアの攻撃を次々にストップ。延長での勝利に貢献した。これでドイツは16大会連続の8強入り。4度目の頂点へ向け、“GK兼スイーパー”ノイアーの視界は広がる一方だ。

 こんなGK、そうはいない! ノイアーは前半9分、味方の右DF裏スペースへ出されたスルーパスに反応。果敢に飛び出すと、相手FWスリマニと猛烈な勢いで並走し、コーナー付近でDF顔負けの豪快スライディングタックル。相手のクロスをクリアした。

 その後も何度もペナルティーエリア外に飛び出して、ピンチの芽をつんだ。自信に満ちた判断力に加え、抜かれて失点することを恐れないケタ外れの勇気。点を取られることが負けに直結する0-0の後半44分ですら、自陣中央にまで飛び出して相手のスルーパスをクリアした。結局、ペナルティーエリア外でボールに触れたのは実に21回にも上った。延長後半に1失点したが「90分間は無失点でこなせたからね」。気にするそぶりはなくニコニコ顔で8強進出を喜んだ。

 この活躍を海外メディアも絶賛した。英デーリーメール紙は「偉大なドイツの“スイーパー”として、ベッケンバウアー、マテウスと肩を並べた」と、かつてDFを務めた2人の英雄に言及。ノイアーがいかにGKではなくスイーパー(最終ラインでボールをスイープ=掃き出す役割のDFポジション)としての役目を担ったかをたたえた。

 Bミュンヘン所属選手が中心の現ドイツ代表ではもはや欠かせない存在だ。元バルセロナのグアルディオラ監督がバイエルンに持ち込んだ戦術を、代表のレーウ監督も導入。DFラインを高く設定し、中盤でボールを細かくつなぎながら崩す。半面、DFラインの裏には広大なスペースができる。そこでノイアーの出番というわけだ。

 ただ、広い守備範囲を保つためには走力、持久力がなければならない。特筆すべきは、その走行距離。アルジェリア戦は延長も含めて5・517キロと自然と距離が伸びたが、米国との1次リーグ最終戦でも90分間で4・814キロも走った。日本代表GK川島がコロンビア戦の90分で3・704キロだったことを考えると、実に驚異的な数字だ。

 シャルケ時代の11年3月。日本で東日本大震災が起きた直後のフランクフルト戦前、同僚の内田がユニホームに日本を励ますメッセージを書き込んでいた。内田から「試合に勝ったらこれをファンに見せる」と聞くと「まかせておけ。オレが守って絶対勝つから」と約束した優しい一面も持つ。心も、守備範囲も広いノイアーが、ドイツを4度目の優勝へとけん引する。

 ◆マヌエル・ノイアー 1986年3月27日、ドイツ・ゲルゼンキルヘン生まれ。大型GKとして地元シャルケのユースで育ち、05年にプロ契約。翌06年にブンデスリーガデビューを果たし、10-11年シーズンにはドイツ杯優勝に貢献した。生え抜き選手として絶大な人気を誇ったが、翌11-12年からBミュンヘンに移籍。12-13年には国内リーグ、ドイツ杯、欧州CLの3冠を達成した。09年からドイツ代表で、これまで49試合に出場している。193センチ、92キロ。

















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