【イチロー大相撲〈39〉】玉鷲のストレス解消理論 いつも機嫌良くいられる訳

39歳の最年長関取、玉鷲(片男波)は、なぜこんなに元気なのか?

8日に初日を迎える秋場所では、大記録に到達する。2004年の初土俵から通算連続出場1628回。2日目に歴代1位の元関脇青葉城に並ぶ。

健康の秘訣(ひけつ)は「ストレスをためないこと」。ならば、どのようにして、ストレスをため込まないのか。

いつも元気な玉鷲に聞いた。本人の口調(ほぼ)そのままにお届けします。

大相撲

玉鷲一朗(たまわし・いちろう)1984年11月16日、モンゴル・ウランバートル生まれ。出生名はバトジャルガル・ムンフオリギル。2004年初場所初土俵。2008年初場所新十両、同年秋場所新入幕。最高位は関脇。新型コロナウイルス関連を除けば、初土俵から休場が1度もなく、通算連続出場1598回は史上2位。優勝2回、殊勲賞2回、敢闘賞1回、技能賞1回。得意は押し。189センチ、176キロ。家族はエルデネビレグ夫人と2男。手芸など物作りやイラストが得意。

ストレスをためない

秋場所は、玉鷲にとって記録ラッシュの本場所になる。

幕内在位は、歴代9位の90場所目。初日に幕内出場回数が単独6位になる。

初土俵からの連続出場回数は、現在1628回。あと2回で歴代1位の青葉城に並び、あと3回で単独歴代1位になる。

初土俵からの通算連続出場回数


力士名回数
1青葉城1630
2玉 鷲1628
3富士櫻1543
4貴闘力1456
5高見山1425
6大竜川1367
7寺 尾1359
8芳 東1342
9豊ノ海1316
10飛騨乃花1297

20年以上にわたって休みなし。「鉄人」とも呼ばれるようになった。

日ごろの鍛錬や体の強さも長持ちの秘訣だが、「気持ちの安定」も見逃せない。

健康の秘訣は「ストレスをためないこと」だという。

8月下旬、出稽古先の高田川部屋で、玉鷲に聞いた。

―昨日も今日も高田川部屋への出稽古ですね

玉鷲 「いや、やっぱ、ずっとお世話になっているので、師匠(高田川親方)に」

出稽古で高田川親方(左)に助言を求める玉鷲(共同)

出稽古で高田川親方(左)に助言を求める玉鷲(共同)

―昨日、高田川親方(元関脇安芸乃島)に何を教えてもらっていたのですか

玉鷲 「さっき、ちょっと膝が使えるとか、ちょっと内側に入っているので、それも自分で気づいてないんですよ。高田川親方に膝が内側に入っているから、膝が縦になっちゃうからと」

―膝の曲げ方をよりよくしたようですね。参考になりましたか

玉鷲 「はい。すぐ使えるかは難しいですね。少しずつ、直して」

短冊を見せる玉鷲(2019年6月25日撮影)

短冊を見せる玉鷲(2019年6月25日撮影)

―健康診断の時に「ストレスためない方がいい」と言っていました。ストレスをためないように気を付けていることはありますか

玉鷲 「まあ、正直、ストレスをためない。あのなんていうの、ストレスやっぱり、なりますよ。たまる。たまりますし。それをほぐし、いろんな方法を使いながら、なるほどねって感じながら」

―ストレスためない方法はどういう方法ですか

玉鷲 「ストレスためない方法ですね。うん、やっぱりそこに向き合って、ただ…。

どうやってそれを、この簡単な方法じゃなくて、みんなに迷惑かけない、自分にもこの甘えさせない。

まあ、ストレスためない方法はたくさんありますよ。おいしい食べ物とか。あと、その、問題になってるものを研究して、なるほどになるまで考える。どこいったらリラックスできるか」

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スポーツ

佐々木一郎Ichiro Sasaki

Chiba

1996年入社。2023年11月から、日刊スポーツ・プレミアムの3代目編集長。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。 X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで、大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。