【イチロー大相撲〈47〉】相撲芸人「あかつ」は何者なのか?知られざる素顔〈上〉

TBS系「水曜日のダウンタウン」でおなじみの相撲芸人あかつ(43)を紹介します。

まわし姿がおなじみですが、なぜ相撲芸人となったのでしょうか? 売れる前は借金を抱え、大物政治家の秘書を務めていたこともあります。

一体、何者なのか? 上下2回に分けて、「知られざる顔」を明らかにします。

大相撲

◆あかつ本名・山名大輔(赤津から改名したいきさつなどは、次回詳報します)。1981年(昭和56年)5月22日生まれ、福島県いわき市出身。小4から大学卒業まで柔道を続け、高3時には国体団体16強など。仙台大卒業後に東京NSCをへて、吉本興業に所属していたこともある。現在は、相撲芸人として活躍中。相撲芸人ユニット「連合稽古」の一員として、2023年キングオブコント準決勝進出。個人事務所「赤津部屋」所属。165センチ。

なぜ相撲芸人なのか

あかつは、元力士ではない。

だが、バラエティー番組に出演する際は、ほとんどがまわし姿。肩書は「相撲芸人」。

大相撲の本場所中は、ABEMA大相撲LIVEに出演している。元横綱若乃花の花田虎上さんのアクション解説では、相手力士役を務めている。花田さんの解説に合わせて、的確に動きを再現していく。

福島弁が残る話し方に、人柄がにじむ。

いじられ役で、謙虚で、憎まれない人だ。

角界関係者との交友も幅広い。

元千代の国の佐ノ山親方(左)にはさみを入れた相撲芸人のあかつ(2024年6月8日撮影)

元千代の国の佐ノ山親方(左)にはさみを入れた相撲芸人のあかつ(2024年6月8日撮影)

いつの間に、どういう経緯で、こうなったのか。

―あかつさんは元々、柔道をやっていらしたと聞いてます。相撲にハマったきっかけは何ですか

昔から、うちのじいちゃんが相撲を見てました。それを一緒に見て、160キロの筋肉の塊のぶつかり合い、これはなんなんだっていうような…。

どこに魅了されたかを説明するのは難しいですけど、ただ単に相撲を見るのが好きだったんです。それでフジテレビのとんねるずさんの番組の「細かすぎて伝わらないモノマネ」に出たくて、何か俺にできるんじゃないかなと思って…。当時、朝青龍関の気合の入れ方が独特で、それを1回、家でやってみたら、「これ、意外と似てっかもしんねえな」っていうのがあって。似てるかもね、なんて(周囲に)言われたんですけど、結局、番組には出られなかったんですけど…。

独特の構えから締め込みをたたいて気合を入れる朝青龍(2007年1月7日撮影)

独特の構えから締め込みをたたいて気合を入れる朝青龍(2007年1月7日撮影)

―番組のオーディションは行かれたんですか

そうそう。好きなものをそのまま仕事にできるって、これはこんな幸せなことはないなと思って。趣味で相撲見てて、それが仕事になるとか、それはそれはめちゃめちゃありがたいなって思って。これ、俺に合ってんのかもしんないなと思って、相撲のネタをちょっと作っていこうとなった感じですね。

―そこで、相撲のネタとエクササイズを融合させた「すもササイズ」が完成したわけですか

そうですね。ストレートに相撲のネタをやってもダメなので、やっぱり流行りを作る女子中高生に何か刺さるのがないとダメだなと。女子中高生といえば何かなって思った時に、加藤ミリヤだと思ったんですね。加藤ミリヤの曲に合わせて相撲ネタを入れて、それに踊りと相撲のものまねを入れて、オーディションに持ってったんですね。

そしたら、「加藤ミリヤの曲もいいんだけど、老若男女が知ってる曲で、もう1回作り直しませんか」と、作家さん、ディレクターさんに言われました。

―その時のオーディションはどの番組ですか

(お笑いネタ番組の)あらびき団ですね。

―修正を指示されてから、どうしたんですか

何曲か案を持っていきました。その中に、ジャクソン5の「I WANT YOU BACK」もあって、これで作り直しました。それで初めて、あらびき団に出させてもらいました。あれは2010年1月の放送でした。

―手応え、反響はいかがでしたか

今までにないような反響があったんですよ。オンエア後に、日テレのぐるナイ(日本テレビ系のバラエティー番組「ぐるぐるナインティナイン」)のおもしろ荘、「ガキの使いやあらへんで」の「山―1グランプリ」から連絡をいただいたり。芸人は誰しもが目指す番組なんです。

借金がきっかけで、政治家秘書に

―あらびき団で世に出るまでは、どうしていたんですか。仙台大を卒業された後は

芸人の養成所を1年、その後2年間、吉本でやってました。で、その3年間で借金を作っちゃって…。

―なんで借金を

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スポーツ

佐々木一郎Ichiro Sasaki

Chiba

1996年入社。2023年11月から、日刊スポーツ・プレミアムの3代目編集長。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。 X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで、大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。