◆評論家
セルジオ越後(せるじお・えちご)
1945年(昭和20年)7月28日、サンパウロ生まれ、日系2世。18歳で名門「コリンチャンス」とプロ契約。右ウイングとして活躍しブラジル代表候補にも選ばれる。72年来日。藤和サッカー部(現:湘南ベルマーレ)ではゲームメーカーとして貢献。辛辣で辛口な内容とユニークな話しぶりにファンも多い。
ネイマールは本物のスーパースター
<W杯:カメルーン1-4ブラジル>◇1次リーグA組◇23日◇ブラジリア
これが本物の力なんだ。ペレとかマラドーナとか、彼らはみんなそうだった。計り知れない重圧、息が詰まりそうな期待を受け、さらに相手チームからは徹底的にマークされながらも結果を出す。カメルーン戦で2点を挙げ、今大会の通算得点をトップの4点としたネイマールは、単純に本物だということだ。
スペイン、イングランド、ポルトガルと、強いと言われていたチームですら、W杯という雰囲気の中で苦しんだ。ブラジルはどうか。ファンが最高のものを求めすぎるから、メキシコ戦でドローだった時には批判も起きた。でもふたを開けてみればA組1位通過。チームをけん引するネイマールは、すべてのファンに認めさせたんだと思う。彼が1番の選手だということを。
スーパースターは、作り上げられるものじゃない。そういう意味では日本の選手はかわいそうだ。欧州ではベンチに座っているのに、周囲からすごい選手だと祭り上げられてしまう。ブラジルでは結果で納得させる以外にはスターになる方法はない。今大会でネイマールは、正真正銘のスーパースターになったと思う。(日刊スポーツ評論家)