◆評論家
セルジオ越後(せるじお・えちご)
1945年(昭和20年)7月28日、サンパウロ生まれ、日系2世。18歳で名門「コリンチャンス」とプロ契約。右ウイングとして活躍しブラジル代表候補にも選ばれる。72年来日。藤和サッカー部(現:湘南ベルマーレ)ではゲームメーカーとして貢献。辛辣で辛口な内容とユニークな話しぶりにファンも多い。
ブラジルより気楽だったアルゼンチン
<W杯:オランダ0(2PK4)0アルゼンチン>◇準決勝◇9日◇サンパウロ
準決勝2試合を見たが、ブラジルとアルゼンチンの立ち位置の違いが、結果に表れた感じだ。アルゼンチンは地元開催のブラジルに比べ、「絶対に優勝だ!」という厳しいノルマを課せられていないし、内容も求められていない。だからオランダ戦のように、一見消極的に見えるほど守備的な試合ができ、結果的にPKで勝ってしまった。
一方のブラジルは、国内に「決勝に行かなければならない」という雰囲気が充満していた。その上、チリ戦での劇的なPK勝ちもあり、国全体がイケイケムードで守備的な戦い方が許されない感じだった。ドイツ戦ではFWネイマールが腰椎骨折し、DFチアゴシウバ主将が出場停止と戦力が低下しているにもかかわらず、試合開始から攻めにいき、逆に1点を失うと頭がまっ白になってしまった。
まあブラジルにとっては中途半端に負けるより惨敗した方が、一からチーム作りをやり直せて良かったと思う。過去の歴史を過信していたわけだから。ただ、3位決定戦ではブラジル-アルゼンチン戦が見たかった。南米のライバル同士だしね。それができない今、決勝ではドイツを応援する人は多いと思う。今日もみんなオランダを応援していたよ。(日刊スポーツ評論家)