ボーカルの人見元基(67)は90年に解散すると、高校教師に転身。異例のキャリアの持ち主だが、そのパワフルでレンジが広い日本離れした声は、まったく衰えを感じさせなかった。
だが、そんな人見もこの日は、いくつか〝やらかした〟。「YOU'RE THE ONE FOR ME」では小節を飛ばし、山本の「もう1回やろうか」で再演奏。ファンにとってはうれしいハプニングとなった。それでも、アカペラでボーカルソロを披露するなど、ロックボーカルの枠にとどまらない豊かな表現力でファンを魅了した。
山本は「皆さんとは随分ご無沙汰した時期があったにもかかわらず、こんなに多くの方が待っていてくださって、本当にありがとうございます」と感謝を述べた。「去年6月に、あんなに多くの方が見たいといって来てくださって、思い切ってキャパが倍以上のホールにしたのに、それでもまだ入れない人がいっぱいいる」と続けると、「奇跡です」とした。
「来年70歳です」に会場は大歓声。「この年齢でステージに立っているのが信じられない」と笑い、「VOW WOWという奇跡のバンドは正直もうないと思っていた」と明かした。だが、「それをつないでくれたのは新美俊宏だと思います。ファンにも、そして新美にも、今日のライブをしっかり届けたいと思います」に会場は惜しみない拍手を送った。
途中休憩を挟んだ2部制で約3時間。80年代と変わらぬパワフルさと、レコーディングなみの再現性で、待ちわびたファンを魅了した。
キーボード厚見玲衣(67)は最後に「平均年齢70近いんだよ。よくやってると思いませんか!」と絶叫。また、「再結成バンドは体形が別モノも多いけど、うちら素晴らしいんじゃないですか!」と続け、「努力してるわけではなく、生まれもった才能」としたが、人見は「才能ではなくて、単に胃腸がよくないんじゃない」と笑わせた。
そんな人見の「また会おうぜ!」でSEの「YOU KNOW WHAT I MEAN」が流れると、サービスで一節を披露。その後、「歌詞が分からない」と笑いつつ、「よいお年を!」と手を振りステージを後にした。
1月9日公演の模様は、WOWOWで3月に放送され、放送後21日間はWOWOWオンデマンドで配信される。