【150秒の青春】ジャパンカップ特別版!箕面自由5連覇へ~涙を流した選手の思い

いよいよチアリーディングの日本一を決める大会が始まった。ジャパンカップ日本選手権は29日に国立代々木第1体育館で開幕。ディビジョン1高校部門で5連覇を目指す箕面自由学園GOLDENBEARSの思いに迫った。

その他スポーツ

【150秒にかける青春】一覧はこちらから

~ジャパンカップ特別版~

ディビジョン2超速報&写真特集を8月31日(土)夜に配信予定!

ディビジョン1超速報&写真特集は9月3日(火)の正午前に配信!

【会員ページ 目次】

☆ディビジョン1

箕面自由学園5連覇へ

1年前の悔し涙をうれし涙に変える

☆ディビジョン2

箕面自由Bは1年生中心で挑む

優勝してAにつなげる!

☆箕面自由学園中 Jr.BEARS

親子で目指す日本一

父はサッカー元日本代表のスター選手!

☆We Love Cheer ミニ情報

列島を台風直撃! 

梅花、如水館は大幅に予定を早めて28日に東京入り

【ジャパンカップ日程】

〈第1日(29日)〉

☆エキシビジョン

☆敗者復活戦

〈第2日(30日)〉

☆フライデートーナメント

☆チアリーディングスピリッツ決勝

☆自由演技競技ディビジョン1 各ユース部門決勝

☆ディビジョン2決勝

〈第3日(31日)〉

☆エキシビション

☆社会人の部 敗者復活戦、フライデートーナメント

☆自由演技競技ディビジョン1 各部門準決勝

〈最終日(9月1日)〉

☆チアダンス、エキシビション、アーバンチアダンスなど

☆スモールグループス演技競技 女子決勝

☆自由演技競技ディビジョン1 各部門決勝

台風上陸のため予定を早めて29日に大阪空港から出発した箕面自由学園のメンバー

台風上陸のため予定を早めて29日に大阪空港から出発した箕面自由学園のメンバー

1年前たった1つのミス
忘れずに重ねた努力~

その日の大阪は気温が35度近くまで上昇した。

もうすぐ9月になろうとしているのに、夏はまだ終わる気配がない。

箕面自由学園を訪ねると、ジャパンカップまで「あと2日」とあった。

練習は最終段階に入っている。

彼女たちにとって、今年も長い夏だっただろう。

多くの時間を、この大会のために費やしてきた。

もっと美しく-。

もっと完璧に-。

ライバルは他校ではなかった。

それは、おそらく、自分自身であり、1年前の先輩たちであった。

桂門ホールに集まってくる選手たち。

着替えを済ませると、本番を想定して準備を進めていく。

ウオーミングアップから仲間と心を1つにする。演技へと向かうルーティーンを1つ、1つ、丁寧に確認していった。

壁には代々木第1体育館の画像が貼られてある。

そっと目を閉じる。

超満員の会場、そこに響く歓声。

緊張感はピークに達している。

そっと息を吐き、目を開けた。

夢のような150秒。

それは、青春の全てを懸けた舞台になる。

輝くマット。その先にある栄冠。

大事な練習の合間に少しだけ時間をもらい、1人の部員と向き合った。

ジャパンカップへの思いを、聞きたかったから。

話を聞いている途中で、彼女の声が震えた。

みるみるうちに、その瞳に涙がたまる。

ついには、感情を抑えきれなくなった。

「私は、去年の3年生にすごい申し訳ないことをしてしまったんです」

震える声でそう絞り出すと、言葉にならなくなった。

1年前のジャパンカップ。ディビジョン2で演技をした彼女は、たった1つだけミスをした。

「最後の最後で…。真ん中で落としてしまって…。

引きずらないようにしていたんですけど、いつも心のどこかにそれが残っていました」

ジャパンカップ制覇へ、井上コーチ(右隅)が見守る前で最終の演技確認をする箕面自由学園(撮影・益子浩一)

ジャパンカップ制覇へ、井上コーチ(右隅)が見守る前で最終の演技確認をする箕面自由学園(撮影・益子浩一)

この1年間、ミスを取り返すために、努力を重ねてきたのだ。

いよいよ始まる。

勝負の150秒が-。

演技が終わった時、あの日の悔し涙はきっと、うれし涙に変わっていることだろう。

なぜなら、彼女たちは日本一の練習をこなし、日本で1番の汗と涙を流してきた選手なのだから。

GOLDENBEARSの思いを、ここに描くことにしよう。

箕面自由学園GOLDENBEARSはディビジョン1高校部門で5連覇が懸かる。目指すは高校史上最高得点!

箕面自由学園GOLDENBEARSはディビジョン1高校部門で5連覇が懸かる。目指すは高校史上最高得点!

本文残り79% (5630文字/7143文字)

編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。