【150秒の青春】伊豆の国チア初の日本一!「土建屋のオッサン」の愛と感動の物語

ゼロから立ち上げたチームが日本一になった。ジャパンカップ日本選手権の自由演技競技ディビジョン1中学部門を初制覇したのは伊豆の国チアリーディングチームPowerful Kids。建設業を営む人がチアに魅了され、全国制覇するまでの軌跡を描く。(敬称略)

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箕面自由チア&吹奏楽部
ローズパレード出場決定

【We Love Cheer! ミニ情報】

箕面自由学園チアリーダー部と吹奏楽部が再来年、米カリフォルニア州パサデナで行われる全米最大規模のローズパレード(2026年1月1日)に出場することが決まった。

アメリカンフットボールの全米大学チャンピオンを決めるローズボウルの前に行われる、毎年100万人近い観衆が集まるビッグイベント。全世界から数百チームという応募の中から約20団体が選ばれ、その中に日本を代表して入ったという。

同校チアリーダー部は全国制覇41回の強豪で、今夏のジャパンカップ日本選手権では24度目の優勝となる5連覇を達成。今年2月には日本の高校単独チームとして初めて、米プロバスケットボールNBAのアトランタホークスのハーフタイムショーに主演した。

吹奏楽部も9月下旬に行われた関西マーチングコンテストで金賞を受賞。11月17日に開催される全日本マーチングコンテスト(大阪城ホール)への10度目の出場が決まっている。

伊豆の国Powerful Kids連載〈2〉

初めて見たチアに感銘
 誕生したPowerful Kids

ジャパンカップ日本選手権のディビジョン1中学の部を初めて制した伊豆の国チアリーディングチーム=2024年9月1日

ジャパンカップ日本選手権のディビジョン1中学の部を初めて制した伊豆の国チアリーディングチーム=2024年9月1日

国立代々木第1体育館の通路は、ひんやりと涼しかった。

中学部門の優勝チームが決まった直後。そこへやって来た人は、初めて味わう勝利の余韻に浸っているようだった。

興奮というよりは、夢の中にいるような、そんな思いだったのかも知れない。

長椅子に腰を下ろす。

会場から響く歓声が、遠くに聞こえた。

「忘れもしないですよ。ここで、初めてチアを見させてもらったんです。2005年の世界選手権でした。チアのことなんて何も知らない。野球に例えるなら、キャッチボールも分からないような、そんな感じですよ。感銘を受けてね。次の年からやったんです」

2006年6月3日。

忘れもしない。その日が「初めの1歩」だった。

建設業を営む傍ら、地域の子どもたちを集め、マットを買い、それを運ぶトラックも買った。

「土建屋のおっさんが、やっと日本一になったんですよ!」

19年目でたどり着いた悲願だった。

それはまるで、トウモロコシ畑に野球場を作ることから物語が始まる映画「フィールド・オブ・ドリームス」のような世界。

この物語は、伊豆の国PowerfulKidsが「夢」をつかむまでの軌跡。

伊豆の国市で相原建設を営みながらPowerfulKidsを立ち上げ監督をしている相原健二

伊豆の国市で相原建設を営みながらPowerfulKidsを立ち上げ監督をしている相原健二

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編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。