【150秒の青春】箕面自由学園チアが過ごした夏~0.5差を逆転し5連覇達成!

箕面自由学園GOLDENBEARSが5連覇を達成した。チアリーディングのジャパンカップ日本選手権、ディビジョン1高校の部は熱戦になった。準決勝2位から決勝で大逆転。3年前、同じ「梅花」に敗れた経験があるJr.BEARS出身選手たちの思い。選手16人全員の心境を伝える。

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表彰式で熊(BEARS)のポーズをとる箕面自由学園の選手たち(撮影・浅見桂子)

表彰式で熊(BEARS)のポーズをとる箕面自由学園の選手たち(撮影・浅見桂子)

準決勝まさかの2位通過
その時、何を思ったのか

〈プロローグ〉

私が準決勝の結果を知ったのは、北陸新幹線の車中だった。

大型で勢力の強い台風10号の上陸で東海道新幹線が止まり、飛行機は欠航や満席が相次いだ。

大阪から東京へ向かう手段は限られ、大回りをして日本海側に出て金沢経由で入るしかなかった。

夕方の準決勝に間に合うように午前中に出たが、その日は台風が関西から東海に近づきつつあった。

やはり、予定通りにはいかない。

特急サンダーバードが敦賀駅に着くと、絶望的な気分になった。

乗り継ぎを伝える電光掲示板には、本来なら1時間以上前に出ているはずの列車をまだ表示していた。

大雨の影響で運行停止や大幅な遅延となり駅は混乱。結局、東京までは7時間以上かかった。

車窓から見える真っ赤な夕焼け。ようやく高崎駅に着いた頃、LINEにメッセージが届いた。

準決勝の結果が届いたのはちょうど新幹線が高崎駅を通過した時、空は真っ赤な夕焼けだった。写真は昨年11月に世界選手権が開催された高崎アリーナ

準決勝の結果が届いたのはちょうど新幹線が高崎駅を通過した時、空は真っ赤な夕焼けだった。写真は昨年11月に世界選手権が開催された高崎アリーナ

準決勝の順位表だった。

5連覇を目指した絶対女王の箕面自由学園は2位(266.0)。1位は5年ぶりの日本一を目指した同じ大阪の梅花高(266.5)。

その差わずか0.5点。

どんな思いでいるのだろう。

日本一を宿命づけられ、そのために努力を重ねてきた部員たちである。

緊張や重圧で押しつぶされてはいないだろうか-。

昨年の先輩たちを超えようと、もがきながら1歩、また1歩と前へ進んできた。

ただ、心配は杞憂(きゆう)だったようだ。

あの日の夜、16人は宿舎ホテルの部屋に集まった。

そこで心は1つになった。

この物語は「谷間の世代」とも言われた選手たちが、大逆転で全国制覇を達成するまでの日々を描く。

ディビジョン1高校部門 最終成績


順位チーム決勝総得点
1箕面自由学園272.0405.0
2如水館261.5388.5
3梅花246.0379.5

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編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。