【チームココの言葉】「大丈夫、大丈夫」歩けなかった日も乗り越えて世界選手権へ/4大陸

【上海(中国)=竹本穂乃加】 「チームココ」こと小松原美里(31)尊(32)組(倉敷FSC)が、3大会ぶりの世界選手権(3月18~24日、カナダ・モントリオール)代表に内定しました。

自己ベストの合計182・70点を記録し、日本勢最上位となる8位。吉田唄菜(20)森田真沙也(20)組の10位、田中梓沙(18)西山真瑚(21)組の11位を上回り、日本スケート連盟の選考基準を満たしました。

111・41点をマークしたフリーダンス(FD)では全ての要素で加点を獲得。若手の台頭もある中、実力を示した「チームココの言葉」を現地発でお届けします。

フィギュア

<フィギュアスケート:4大陸選手権>◇4日◇中国・上海オリエンタルスポーツセンター◇フリーダンス(FD)

4大陸選手権 アイスダンス成績


順位選手名RDFD得点
1パイパー・ギレス / ポール・ポワリエ85.49128.87214.36
2ロランス・フルニエ・ボードリー / ニコライ・ソーレンセン82.02125.52207.54
3クリスティーナ・カレイラ / アンソニー・ポノマレンコ77.47116.67194.14
4エミレア・ジンガス / ワドリム・コレスニク75.76117.31193.07
5マリー=ジャード・ローリオ / ロマン・ルギャック71.26119.57190.83
6キャロライン・グリーン / マイケル・パーソンズ75.37115.16190.53
7リム・アナ / クアン・イェ68.91113.87182.78
8小松原 美里 / 小松原 尊71.29111.41182.70
9ホーリー・ハリス / ジェイソン・チャン69.34107.00176.34
10吉田 唄菜 / 森田 真沙也62.86103.27166.13
11田中 梓沙 / 西山 真瑚62.0995.54157.63
12陳 渓梓 / 邢 珈寧61.1096.47157.57
13石 尚 / 吳 楠55.1192.17147.28
14ナタリア・ポール・ネベズ / ジェーイン・パネサール50.5985.38135.97
15インディア・ネット / エロン・ウェストウッド53.5979.01132.60
16李 宣潼 / 王 新康46.4885.94132.42

「気持ちが出ました」

――世界選手権の代表が決まりました

美里 ありがとうございます。

 ありがとうございます。

FDに臨んだ小松原美里、尊組(撮影・竹本穂乃加)

FDに臨んだ小松原美里、尊組(撮影・竹本穂乃加)

――自己ベストとなりました

 70点を出したい、110点を出したいという思いがここ2年くらいありました。やっと両プログラムともできたなと。満足ではないですが、良い演技ができて。本当にうれしいですけど、もっともっと頑張れると力をもらいました。

美里 昨シーズンに比べて、つなぎが難しくなりました。それはリスクもありましたが、それができれば、基礎点というかPCSを上げる構成になっています。各エレメンツのエグジットがよりスムーズで加点をしていただきやすい動きになっています。それを実際に滑りで体現するのは難しいんですけど、点数につながったかなと思います。でもめちゃめちゃ緊張して(笑い)。新しい戦いをして、良い演技ができて、チャリンと重ねたかなって思います。

――日本勢トップになりました。4大陸までもつれた選考の中で結果を残したことについて、どのように捉えていますか。

美里 しっかりと1つ1つ自分の目標に近づいて、提示していただいた条件を超えていくという仕事を達成したことにうれしさはありつつ、完璧な演技がなかなかないので、もうすでに次の練習で何ができるのかを考えている自分もいます。

 美里も言いましたが、おとといよりも今日のほうが緊張しました。この1週間の中で一番上にあがりたいという思いがありましたが、他の日本の選手を見て、良い点数を出したい、世界選手権に行きたいという気持ちが出ました。それが力になって、「頑張らないと」と。良い点数が出ました。またさらに上に目指したい気持ちがあります。

股関節が外れた

――世界選手権は3大会ぶりとなります。

美里 日々の練習でいかに攻めていくか。本番で良い演技ができているのは、日々の練習で出すことに集中しているので、毎日の練習を頑張りたいです。それからケガをしないことです。2週間前に股関節が外れて、かなり焦りました。歩けなかった日もあって、それは練習の質を下げた段階だったので、かなり不安もあって。(世界選手権までは)自分たちの体のバランスを見ながら、より攻めることができるようにしたいです。

――股関節が外れたというのは練習中での出来事ですか

美里 2人で滑っていて、こけて。

――練習量への影響はありましたか

美里 休みました。休める選手になるのも1つの目標ではあったので、今年はそれができました。それもあって復活も早かったんですけど、1度足踏みをしてしまいました。

――痛みはありますか

美里 ずっと痛かったです。今も痛いです。その中で演技ができて良かったです。

――フィナーレでは歌いながら滑っているように見えました。感情の高ぶりが滑りにも表れましたか

美里 今年の音楽は2人の関係というか、先生もそのクオリティを狙っていたもので。年齢が30歳を過ぎて、自分たちに合ったプログラムを選んでいただいたなと思います。

メンタルの先生

――年齢を重ねてきて、普段の練習で変化はありますか

美里 例えば練習で失敗したとして、失敗が問題ではないと。今日の朝練もミスがあっても「大丈夫、大丈夫」と。

 お互いに信じている。

美里 技術も増しているので、それが演技につながっているかなと思います。メンタルの先生もついてもらっていたりするので。

 今季はプレッシャーを感じる場面もありました。あまり国際大会に出られず、チャンスが少ないと。チャンスが少ない分、それをものにしようと頑張った。前よりプレッシャーがあったんですけど、互いを信じないと上を目指せないというのもあって、いろいろなメンタルの先生とも頑張ってきました。

――メンタルの先生はモントリオールのチームの方ですか

美里 モントリオールのチームにいる先生にコーチしていただいているのと、私は個人的に日本スケート連盟のメンタルの先生にお世話になっています。

 僕も英語をしゃべっているモントリオールのメンタルの先生がいます。3人ですね。やっぱり歳をとっているので。最後の演技がだんだん近づいているので、今から何ができるのかというプレッシャーもあるので、次の大会へ向けてもその仕事があります。

――メンタルのコーチはいつからつけましたか

美里 私は脳しんとうの時からなので、5年前(19年)の時からです。

 僕は2020年からですかね。

――世界選手権では時差調整の必要もなくなりますね

美里 日本から来る選手に比べて、地の利もあると思います。天候も分かっていますし。ですが! 世界選手権は世界選手権なので(笑い)。しっかりと日々の練習に集中したいと思います。

――モントリオールでの開催となり、拠点としているチーム全体でも盛り上がっていますか

美里 みんなも盛り上がっている感があります。特にコロナで1度なくなっているので。

――今後は日本には帰らずにカナダで調整となりますか

美里 そうです。(日本は)乗り換えで。おにぎり買います(笑い)

 それだけです(笑い)

スポーツ

竹本穂乃加Honoka Takemoto

Osaka

大阪府泉大津市出身。2022年4月入社。
マスコミ就職を目指して大学で上京するも、卒業後、大阪に舞い戻る。同年5月からスポーツ、芸能などを取材。