【宮本慎也】「優勝は目指さない」…新庄監督1 年目の「所信表明」を支持/〈25〉

ゴールデングラブ賞10度の元ヤクルト宮本慎也氏(53=日刊スポーツ評論家)が、ベテラン小島信行記者との掛け合いで展開する連載「宮本慎也 もっと野球を語ろう」。今回のトークは「飛ばないボール」から、PL学園(大阪)の後輩、西武松井稼頭央監督(48)の休養、日本ハム新庄剛志監督(52)の采配などへと広がっていきます。

プロ野球

■今回の主なトークテーマ

〈1〉選手が言う「ボールが飛ばない」を検証。規格より技術に問題が?

〈2〉松井監督は優しすぎた? 今の西武が勝つために必要な編成と課題

〈3〉ハム新庄監督が優勝を目指さなかった裏にある、本当の狙いが今…

◆宮本慎也(みやもと・しんや)1970年(昭45)11月5日、大阪府吹田市生まれ。PL学園では2年夏に甲子園優勝。同大―プリンスホテルを経て、94年ドラフト2位でヤクルト入団。ベストナイン1度、ゴールデングラブ賞10度。通算2162試合、2133安打、62本塁打、578打点、打率2割8分2厘。引退後は18、19年にヤクルト1軍ヘッドコーチ。04年アテネ五輪、06年WBC、08年北京五輪代表。現役時代は176センチ、82キロ。右投げ右打ち。


◆小島信行(おじま・のぶゆき)プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。

■「だんだんと飛ばなくなるのって、どうなんですかね?」

小島今季は「投高打低」と言われていますが、日本で「縦振り」が浸透してないことも原因になっているんでしょうか?

宮本実際にはどうなんだろうね。ボールが飛ばないのが原因だって話はよく聞くよ。選手が言うんだから、ボールが飛ばないのは本当なんだと思う。

小島プロ野球の歴史を見ると、ボールの影響はとてつもなく大きい。

簡単に説明すると、ボールを大量生産できるようになってから、どんどん飛ぶようになりました。メーカーが飛ぶボールの開発合戦になって飛びすぎるようになると、今度は規制がかかって飛ばなくなる。それが極端にホームラン数とかに影響するというのが、大ざっぱな流れです。

宮本小島さんの連載したコラムにも、詳しく書いてありますよね(「調査報道 投高打低のリアル」はこちら)。技術が進み、だんだんと飛ぶようになるのは分かる。それで規制がかかって、一気に飛ばなくなるのも理解できます。でも、だんだんと飛ばなくなるのって、どうなんですかね?

小島ボールはちょっとした縫い目の高さによって、飛距離が大きく変わります。調べたり、取材したときに覚えているのは、同じボールを大量生産し続けるのは至難の業だってことです。

ボールの材質や保存の仕方がちょっと違っても、大きな誤差になってきます。だからボールを作っている材質がだんだんと悪くなって、だんだんと飛ばなくなる可能性はあります。

でも作っているメーカー(ミズノ社)からすると、同じボールを作り続けるための努力はしても、だんだんと劣化していくような方針は絶対にとらない。ボールを包んでいる袋なんかも開発して品質を保とうとしているんですから。

宮本さんが疑問に思うように、だんだんと飛ばなくなるっていうのは、ボール以外の何かが影響している可能性があります。

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プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。
投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。