【宮本慎也】大谷翔平「40―40」に思う ピッチクロック導入は絶対条件/〈34〉

ゴールデングラブ賞10度の元ヤクルト宮本慎也氏(53=日刊スポーツ評論家)が、ベテラン小島信行記者との掛け合いで展開する連載「宮本慎也 もっと野球を語ろう」。夏の甲子園編に続き、今回はメジャーリーグ編です。「50本塁打、50盗塁」への歩みを進めるドジャース大谷翔平投手(30)の活躍や、ピッチクロックを導入しない日本球界の問題点にも切り込んでいきます。

MLB

■今回の主なトークテーマ

〈1〉大谷翔平が悠々と到達した40本塁打&40盗塁の「40―40」に宮本さんも興奮

〈2〉MLBで昨季から導入された「ピッチクロック」が、盗塁時に有利に働く仮説

〈3〉「やってみなはれ」を徹底するメジャーと、変更に鈍感なNPB。切実な提言

◆宮本慎也(みやもと・しんや)1970年(昭45)11月5日、大阪府吹田市生まれ。PL学園では2年夏に甲子園優勝。同大―プリンスホテルを経て、94年ドラフト2位でヤクルト入団。ベストナイン1度、ゴールデングラブ賞10度。通算2162試合、2133安打、62本塁打、578打点、打率2割8分2厘。引退後は18、19年にヤクルト1軍ヘッドコーチ。04年アテネ五輪、06年WBC、08年北京五輪代表。現役時代は176センチ、82キロ。右投げ右打ち。


◆小島信行(おじま・のぶゆき)プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。

■「ここでも漫画の世界が続いている」

小島高校野球の次は、メジャーの話をしましょう!

宮本メジャーというか、大谷の話じゃないの? 「40-40」はすごかったなぁ。同点で迎えた9回裏2死満塁からサヨナラ満塁ホームランで決めるんだから。二刀流をやっているだけでも漫画の世界だったのに、ここでも漫画の世界が続いている(笑い)。

小島そうですね。2死二、三塁から前のバッターがフォアボールなら打ちそうな予感はしていましたが、本当に打ってしまいました。それとあと、ホームランボールを弾いて捕れなかった人が直後に頭を抱えてましたよね? 笑ってしまいました。

宮本あの人、もっと野球の練習をしておけばよかったと、後悔してるだろうね。

小島あのホームランボール、グラウンドに跳ね返った後、レイズのセンターが拾ってスタンドに投げ返したんですよね。持ち帰ってくれればよかったのに…。

宮本すごい価値になりそう。でもそうやってグラウンドに応援しにきてくれるファンは大切にしないと。それで球場にきてくれるファンが増えればいいんだよ。

■「大谷ならやってくれそうな期待がある」

小島メジャーでも「40-40」は5人しか達成してない。カンセコ(42-40)、ボンズ(42-40)、A・ロッド(42-46)、ソリアーノ(46-41)、アクーニャ(41-73)のそうそうたるメンバー。そのうちの1人が日本人なんて、信じられない。しかも最速記録ですから。

宮本同じ日本人として誇りに思う。日本球界では秋山さん(元西武―ダイエー)が39本塁打で1本、届いていない。それをメジャーでやるんだから。ただ、大谷はまだ「50-50」の可能性もある。ぜひ、達成してもらいたい。

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プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。
投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。